埼玉の奥地で煙にまみれ安いホルモンを喰った

午後からヒマになったので、ぶっ壊れた携帯の充電器をauショップ(西池袋)に持っていった。

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保証期間内なので無料で交換できますよ──と言うケバい係員の女。

ところがタダなのはいいとして三日かかります……だそうで、三日も充電出来ないと困るんですがと困った顔で告げると「だったら当店で充電できますよ」とニッコリしながら教えてくれた。いちいち電話を充電するのにここまで来んのか?

用事が終わり、本当にヒマだったので下条君宅のある吹上(埼玉県)に向かった。下条君の狂犬をながめ、面白い店があるというのでついて行くと、六年前にも連れてこられた汚いホルモン焼の店だった。

うらぶれた店内。死んだ目をしたデブの中年ウェイトレスに下条君が慣れた調子でオーダーを通す。横では酔っぱらいのハゲおやじが酒をかっくらいつつ家族団らんの真っ最中。娘も一緒だ。

娘もいきなりこんな店に連れてこられて当惑しているようだった。黙って家族の会話を盗み聞きすると、就職祝いとかそんな言葉が聞こえ、ホホウとうなづいていたら、いきなり目の前に豚の内蔵が山盛りの皿をドシンと置かれた。

店の奥に設置されたテレビは電源が消されたまま。ブラウン管は指でなぞったらそのまま字が書けそうなくらい、脂でネトネトになっており、しかも恐ろしいことにこの店には換気扇が無く、店内はいつもホルモンの煙で霧の摩周湖並みにかすんでいる。

この店を出た瞬間、私の目に激痛が走り、その後三時間ほど厳しい思いをした。肝心の肉は安くて味もいい。でもそうでもなかったらこんな店、速攻で潰れるよな。吹上町から車で15分。秩父鉄道行田駅から徒歩5分の裏通り。

次回はカメラを持っていこうと思うが、それより換気扇が無いお陰で、髪の毛から服から靴から下着まで、ものすごい臭いがこびりついて離れない。こういう店好きな人大勢いるけど、俺の場合次回はないな!
(文・クーロン黒沢)



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