カンボジアで釣り。竿は一年前にリールとセットで特価10 ドルのズタボロ中国製

s-0051 三日間にわたり、尾藤さん(仮名)、ダモンデさん(仮名)と一緒にコンポンソムへ行った。目的は海釣り。竿はプノンペンで一年前にリールとセットで特価10 ドルという値段にて購入したズタボロの中国製。これがすごい代物で、市内のつり掘りで30分も使わないうちいきなり折れるわ(魚がかかってないのに──)、ぶっ壊れるわ。メーカーの人たちに、末永く使ってもらいたいという気持ちが数ミリでもあれば……。

 しかし、着いた早々雨で釣りどころではなかった。おまけに市場で買い物をしている間に、ホテルに置いてあった尾藤さんのかばんの鍵が何者かによってこじ開けられ(三ケタの数字を合わせるキー)現金が盗まれていたことが判明‥‥。
 泥棒はご丁寧に鍵をもとどおりロックして出て行ったが、用心深い尾藤さんは鍵を閉めるとき、いつも特定の番号にあわせ、ジッパーを特定の場所で閉じるという癖があり、誰かがかばんをいじったことが一目瞭然だったというわけ。

 尾藤さんは妙に落ち着いているが、今回も薄気味悪いほど落ち着いていた。いきなりキレたりしないかな‥‥と危惧したが、そういうこともない。とりあえず犯人を想像してみると、廊下をウロウロしていた小僧が怪しいという結論に達した。そういうわけで本人の同意を得てそいつをボディーチェックしてみるが、なにも出てこない。まあ、いつまでも盗んだカネを持ってウロウロするような馬鹿はいないか。
 結局、海辺でジョギングしていたホテルのオーナーを呼びに行き、夕方まで話し合った。オーナーはこともあろうに一番最初に自分の息子を疑いはじめ、そこに息子が帰ってきてひと騒動。確かにここの関係者のなかで最もタチ悪そうなのがこいつで、しかしながら壮絶な家族喧嘩を見ているのは辛く、尾藤さんは既にすっかりあきらめていたのでその場は引き下がることにした。

 翌日、あっけなく事件は解決。盗まれた金の一部は尾藤さんの元に戻ってきた。盗んだ奴は自分の荷物を置いたままコンポンソムから夜逃げ‥‥。上半身裸のおやじによる執念の捜査が実を結んだようだが、詳細はあまりに長いので割愛する。カンボジアもまあまあ捨てたもんじゃないなと思った。



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