北の女。目つきの陰険な、あだ名をつけるなら「密告屋」「雑巾」といった感じの女ウェイトレス

s-0141 夕方、誘われて平壌レストランへ。

 プノンペンには以前から「ひまわり」というかなりしょぼくて怪しくて暗い北朝鮮レストランがあり、エアコンもろくすっぽきいてない暗いテーブルで激辛冷麺を食って、壁の薄汚れた刺繍を鑑賞できたものだが、本国もこれでは客が来ないと判断したのか、誰か偉い人の指導でもあったのか、場所を変えてゴージャスにリニューアルオープン。店員も総入れ替え。

 目つきの陰険な、あだ名をつけるなら「密告屋」「雑巾」といった感じの女ウェイトレスは消え、本国から化粧はきついが芸は確かなピチピチ女性服務員が大量入荷。店内には豪勢なカラオケセットが注意深く設置され、中国や韓国からやってきた能天気な団体客で賑わっていた。

 北朝鮮の国旗をあしらった不気味なバッヂをつけた服務員たちは群れをなしてきびきびと働き、手が空くとカラオケで半端ない歌唱力を披露。

「ホーンホーンスーミダー、ホンホンスーミダー」

 という謎の曲にあわせチームで踊ったり、ピリピリピリピリポンポロポロポロ指先が爆発しそうな勢いで琴を演奏したり、客も大興奮。

 出された冷麺もうまくて感動。あら探しして民族的プライドを満足させてやろうと店に入る前から散々意気込んでいたものの、結局、うまく丸めこまれ、お会計。これでは拉致被害者に顔向けできないと悩みつつ、デザートに出されたパイナップルまで一切れ残さず食ってしまい、複雑な心境で店を後にした。



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