カンボジアの素:アンコール遺跡
この記事は90年代にミニコミとして出版したガイドブック「カンボジアの素」に書いた記事を復刻したものです。後年、情報を追記したりしていますが、全体的に古すぎ、記述が攻撃的で、正確ではありませんので、読んで懐かしむ程度でお願い致します。
アンコ-ル・ワットに入るには結構高い入場券が必要。色々抜け道があるらしいが、正式には、アンコ-ル・ワットとアンコ-ル・トムの入場料セットで、1日 20$、3日で40$、1週間で60$。正式なチケットには観光省のマークがあるそうな。ニセチケットも出回っていて、安さに目がくらんで怪しい人物から買ったはいいが、ゲートでバレて入れなかったという人もいる。
因みにカンボジア人の拝観料はタダ。なので、全身日焼けしてからそのへんの古着屋で適当な服を買い、髪の毛を七三に整えてから金色の腕時計にマスクをしていけば、ただではいれるかも。
遺跡群は博物館のように壁で囲まれている訳ではないので、どうしても入場料を払いたくない人はバイクを借りてちょっと周り道でもすれば、田んぼから入る事も可能。
しかし、カンボジア唯一の収入源といっても過言ではないので、警備がうろうろしているのは言うまでもない。入場料に関しては色々な情報が乱れ飛んでいるようですが、あまり節約するのも考え物でしょう。
シェムリアップに着いた私は群がるタクシ-の運転手にホテルのカ-ドを見せる。マホガニーホテルに着いた私は、早速アンコ-ル・ワットに向かおうとタクシ-の運転手を呼んだ。
「今から行くと入場料がもったいない」と言うが、「別に構わない」と告げると、
「夕暮れになると危険なので行きたくない」と本音をもらす。
地元の人でも嫌がるとは……。取り敢えず、帰りのチケットを予約するため航空会社に行くが、今度は職員が誰もいない。掲示版には、5時以降に職員が戻りますと英語で書いてあった。しかたないので、市内を流させ、写真を取ったりして一応、観光客らしく振る舞ってみたりする。
5時になったので航空会社へ戻ってみると、客の列が出来ていた。しばらく待って、エリート意識むき出しの鼻につく職員からのったりとチケットを発行してもらう。
近くの屋台で食事を済ませホテルに戻る。ホテルの子供達や他の旅行者と話をしているうちに、夜は更けていく。翌朝、朝食を済ませホテルに戻ると、従業員が「俺を1日、運転手に雇わないか」と言ってくる。車を見せてもらうと、壊れた所も無いようだしエアコンも動いているようなので値段交渉。1日5$で決着。
シェムリアップの町からアンコ-ル・ワットに至る田園の一本道を走る。朝のひんやりした風が気持ち良い。すれ違う登校中の学生の屈託の無い笑顔を見ていると、ここがカンボジアとは想像もできない。
途中のゲ-トでパスポ-トを見せて入場料を支払い、チケットを受け取り数分走ると、生い茂った森林に中に石造りの門が見えてくる。門をくぐり抜けると、目の前に長く続く石壁が見え、壁に沿うようにして走るとアンコ-ル・ワットへの参道が……。
運転手を待たせ、地元の少年をガイドに雇い見学。ガイドのおかげでアンコ-ル・ワットが楽しく見学できた。最上階に着き、物売りから飲み物を買い二人で休息。見学を終え、近くの屋台で昼食を取っている。と、遠くで轟音が鳴っている事に気がついた。
近くにいる奴に「あれは何の音?」と聞くと、「ボム、ボム」と陽気に答えた。ちょっぴり血の気が引いていった。しかし、音にはすぐに慣れ、気にならなくなった。エレファント・レ-リフを横切りバイヨン寺院に向かう。参考までに、アンコ-ル・ワットの遺跡群は横長のものが多いので、パノラマ機能付きのカメラだと迫力のある写真が取れる。
機関銃をぶら下げた兵士が横を通り過ぎて行く。昼寝時間中のせいか人影はまばら。バイヨン寺院に着くと例のごとく子供達が土産を買ってくれと集まってくる。子供を大勢引き連れて見学していると妙に偉くなったような気がして、ガキ大将の気持ちが良く解る。(1994・野口)
(文・アジアの素編集部)