アーロンチェアを自分で修理してみた。それもプノンペンで。

皆さんいかがお過ごしですか? 今回は悩めるアーロンチェア使用者に捧げる「ちょっといい話」。

s-cimg4517

何年か前にバンコクで買ったアーロンチェア。陸路、丸二日かけてプノンペンまで運んだのはいいとして、かなりくたびれてきた。

背中から腰をサポートするらしいランバーパッドは経年劣化で真っ二つ(一年もたなかった)。これは「よくあること」らしいので深く考えず。そのまま捨てた(後で後悔)。もう一点。腰掛けている部分のメッシュが摩擦で擦り切れ、座面の縫い目がほころんできた。ああ……。

一応これでも十年保証。日本なら即刻クレームするところだが、ここは日本ではない。代理店は国境の外だ。仕方ないので気合いで一年使い続けるうち、ほころびは少しずつ少しずつでかくなり、今年に入ってかなり深刻に。

諦めの境地から使い方が尚更荒くなっていたせいもあり、メッシュはボロボロ。見かけは1980円の椅子より情けなく、ほころんだ部分に尻を当てるとズッポリ沈み込む状態。お世辞にも腰痛には良くない(悪影響の方が多い)。というか、何のための椅子かわからない。

とはいえ15万(交通費もろもろ入れると20万近い出費だった)の椅子をポイと捨てるも勇気が必要。そこで、だめもと覚悟で購入元の会社にコンタクトをとりやした。

s-cimg4518

無惨です。

面倒くさい客だなあ……と邪険に扱われるのでは──みたいな予想に反して。「修理しますので弊社までお送りください。発送が面倒なら持ちこみでもいいですよ!」と元気のいいメールが!

しかしながら、店まで持って行けるんならそもそも悩まない。椅子の心配しながらハードな移動。国境でもめたり検問所でたかられたり、真夜中、何が飛び出してくるか気が気ではない片側一車線の道を時速120キロで暴走するタクシー。乗り換え三回トイレ休憩なし。同行者が毒アリの群れに足を突っ込んだりもしたっけ……。

そんな事情を冷静に説明すると、紆余曲折はあったけど、破損部分の写真をメールで送信してくれれば交換部品を発送しましょう……てなことにで一件落着。捨てる前にランバーパッドの写真も撮っときゃよかった……と破れたメッシュの写真をメールに貼付。いまか、いまかと待つこと二ヶ月半。ようやく交換部品が到着。部品代はタダだけど送料が100ドルかかりました。

s-cimg4515
届いたもの

問題のメッシュ部分だけ送ってくれたのかと思いきや、届いたのは座面丸ごと。丸ごと交換に必要な六角レンチは持ってない。どうしよう……なーんて。頭は生きてるうちに使わなきゃ。全体の一部、肝心なメッシュ部は普通のネジで止まっているだけ(座面にネジ留めされている)なので、ここだけ交換ならプラスドライバ一本で何とかなりそう。ハッハッハッ……。でもこれ、オススメしない。

s-cimg4521
ほい。古いメッシュを外しました

s-cimg4523
取り外すとこんな感じ

ビリビリに破れた古いメッシュを取り外す。固定ネジ10本を抜くと、あっけなくパカッとはずれた。で、このときの「パカッ」にどことなくひっかかりがあって、一抹の不安。

s-cimg4524

ついでに新しい方からも取り外し

メッシュがとれてスポスポとなった座面に、送られてきた座面から同様に「パカッ」と外した新しいメッシュを重ねると、なにかおかしい。あれっ?あれれれ?サイズが合わない! そう、メッシュ部のパーツが座面のはめこみ部分より明かに二回り程小さいのよ!

くそっ、サイズ間違えやがったか──と思いきや、渾身の力をこめてメッシュ部を押さえつけると、下方向に歪んだ状態でなんとなく合致に近い。つまり、メッシュ部は予め精一杯のびきった、歪みきった状態で装着するよう設計されているわけです(わかりにくい説明でごめんなさい)。

取り外しの時に感じた「妙なひっかかり」は、負荷のかかった状態ではめこまれていたパーツを無理矢理外したことによる「パカッ」なのだった。

じゃあ、つけるときも負荷かけながらハメこめばよかんべ……と試してみるも、アメ公ひとりの体重を支えるだけのパーツ、メッシュはともかく枠の強化プラスチックにはかなりの強度があり、半ば無理矢理八方向にひんのばしながらはめこむのは、それはそれはもう大変な作業。

この椅子は座面もキャスターも本当にスムーズにガンガン動く。こちとら一人。椅子を壁に押しつけ体重をかけ、真っ赤な顔で上からギュウギュウメッシュ部を押しつけつつ、ネジ留めしようと身をかがめた瞬間、ガッと動いた肘あてが反動でみぞおちに良い具合でキマり、ウウッ! うずくまって歯を食いしばりの、衝撃ですっ飛んだメッシュがビヨーンと宙を舞い、床にカラコロカラ……。

みたいなことを本気で数十回繰り替えし、はめ込むまで一時間余り。そのうえ、ハマったのはほぼ偶然に近い奇跡の出来事で、一人ではほとんど無理に近い作業かと存じます。

全身汗だく。背中から腕が鈍い筋肉痛。手のひらに三つマメができた。このへんの写真がすっぽり抜けてるのは、狂ったような精神状態で写真どころではなかったから。ジャーナリスト失格ですな。そもそもジャーナリストじゃないけど。

ともあれ、終わりよければ全てよし。今後の課題は若干ほころびの見えてきた背もたれメッシュの交換(またかよ……)と、真っ二つに折れちまったランバーパットの交換。もう少し丈夫に作ってほしい。以上、僻地に住む愛用者以外には本当にどうでもいいお話でした。
(文・クーロン黒沢)



“アーロンチェアを自分で修理してみた。それもプノンペンで。” への2件のフィードバック

  1. @nakaisi より:

    お陰で私のアーロンチェアーの座面は6500円で綺麗に治りました。有難う。 http://t.co/ReW5D8df @kurosawa6502さんから

  2. @kurosawa6502 より:

    一人ではほとんど絶対無理なので気をつけてください RT @nakaisi: 有難う。私も挑戦してみる。RT アーロンチェア修理 | 告知君 http://t.co/uKKCAY6L @kurosawa6502さんから

コメントを残す