プノンペン魔窟速報 : 材木置場取り壊しへ

ブルーカラーの心を支え続けたしみったれ歓楽街、通称「材木置場」がついに取り壊しへ!

プノンペン南西、ステンミエンチャイのどぶ川にかかる橋。異臭を放つこの橋のたもとには昔から材木問屋が連なり、通称「材木置場」と呼ばれてきました。

日中、力仕事に精を出した荒くれ人夫たちは、夜になると一帯にひしめくバー、マッサージ、おさわりカフェ等で散財します。競争は熾烈で、サービスの度が過ぎれば摘発され、数カ月後には元通り。というサイクルを十数年繰り返した末、近辺はワーカー向けの風俗街として知る人ぞ知る存在となり、夕方を過ぎると柄の悪そうな兄ちゃんや目だけギラギラに輝いたおっさんで連日賑わっていました。もちろん、治安の悪さも折り紙つきでした。

数ヶ月前、そんな「材木置場」にいきなり登場した広告看板。今の姿からは想像もできない、夢のような立体交差の絵が力強いタッチで描かれています。いつの未来の話かと思ったら、つい先週、突如として取り壊しが始まり、あっという間に材木置場の1/4が瓦礫の山になってしまいました。仕事早すぎ! 今日も今日で、上半身裸の気の短そうな男たちが巨大ハンマーを振り上げ、建物を叩き壊しています。

両隣が瓦礫の山と化すなか、しつこく営業を続けるおさわりカフェもあり。商売敵が減ったせいで客の集積度はアップしていますけれども、客の表情はどこか落ち着きがありません。

まだ立ち退きが済んでいない材木商も、大型トラックで着々と引越し中。この調子だと、年末までに一帯が更地になってしまいそうです。そしたら、ラジコンでもさせてもらおうかな……。
(文・クーロン黒沢)

現場です

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