スラム探訪 : レイクサイドのゲストハウス街はいま……

プノンペンのカオサンロードと言われたあの一帯はいま──

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90年代半ば──。プノンペンホテルの真裏、ボエンコック湖の湖畔に広がるスラムの片隅に、西洋人バックパッカー向けのゲストハウスが次々とオープン。通称「レイクサイド」と呼ばれる安宿街が誕生しました。

安宿の集積度が増すにつれ、旅行代理店はじめ、レストラン・バーなどの娯楽施設も出現。一帯は「プノンペンのカオサン」として繁栄を享受しましたが、それも昔の話。

数年前のある日、界隈の拠り所となっていた湖の埋め立て・再開発が突然決まり、付近のスラムに立ち退き命令が下されます。周辺住民の反対運動は一時期、国内外のメディアを巻き込んで盛り上がりましたが、巨大な権力にひねり潰され、巨大な湖は今や見事な更地です。

かつては湖に沈む夕日を眺めに、私もしばしば足をのばしたものですが……。

一年半前、なんとなく再訪した際は、まだ多くの店が営業を続け、バックパッカーらしき白人旅行者も健在でした。今はどうなっているのでしょうか?

モニヴォン通り、プノンペンホテル脇の小路を曲がって、奥へ奥へ……。突き当りの巨大モスクは未だ健在。健在どころか叩き壊してリニューアルの真っ最中。本場にあっても違和感のない重厚なモスクへと進化を遂げています。

ひょっとして、ひょっとするとレイクサイドも──。一瞬期待するも、路地を進むにつれ、悲惨な現状が目に突き刺さります。旅行者どころか通行人すらまばらな安宿街は、高崎も真っ青のシャッター商店街に。

取り壊されたゲストハウス、瓦礫の山に殺伐としたグラフィティ。寒々しい風の音が響いています。唯一変わらないのは路肩にたむろするトゥクトゥクドライバー(兼・麻薬の売人)でしょうか。私以外、客など皆無。揃って麻薬を売りつけようと声をかけてきますが、どこか投げやりで、瞳には捨てられた子犬を思わせる哀愁が漂っています。

熱気にあふれ、景気の良い話ばかり聞こえるプノンペンの極北がここにあります。一見の価値はありますが、明るいうちに帰りましょう。
(文・クーロン黒沢)

在りし日のレイクサイド

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“スラム探訪 : レイクサイドのゲストハウス街はいま……” への2件のフィードバック

  1. @hobowise より:

    プノンペンのことを調べていたら。。。もうなかったのですねぇ。。スラム探訪 : レイクサイドのゲストハウス街はいま…… http://t.co/5OKm2JVmts

  2. @cho_dadada より:

    プノンペンのかつての安宿街レイクサイドほんまにシャッター商店街になっとる。。。 > スラム探訪 : レイクサイドのゲストハウス街はいま…… http://t.co/D4HKgqCSje

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