街角暗黒グルメ : 超久々に味わう犬肉の歯ごたえ | 後編
クロマーマガジンに寄稿した犬肉シリーズ。諸般の都合で書けない部分を再構成。後編!
前回のお話。……なるべく少なく、お腹すいてないから。ちょっとでいいから……。しつこいくらい念押ししたのに、間もなく、我々のテーブルに山盛りの犬肉が供されました。
びっくりするほど愛想のいい店番の兄ちゃんが、プラスチックの真っ赤なテーブルに、山盛りハーブと刻みレモングラス、ネトネトのタレと真っ黒な焼肉、そして、得体の知れない臓物の皿を置いてニッコリします。
オーダーした覚えのない正体不明の臓物煮込みは、犬肉セットに含まれるサービス品とのこと。ビラビラの長細い臓物を指さし、恐る恐る「こ、これも犬?」と訊ねると、それは牛だって。よかった……。
返す刀で「犬カレーもあるよ。美味しいよ」と言われましたが、これはパス。パスパスパス!
大きめの蝿がブンブン飛び交うなか、ドロドロの味噌ダレに山盛りの刻みレモングラスを投入。薬味のハーブと犬焼肉を同時に頬張ります。それくらいしないと獣肉全開って感じでオエッとなります。
苦み走った部位に、胃袋が反応します。顔に出すのも憚られるのでぐっと飲み込む……。飲んで三分後。大量の冷や汗がドバーッ……。
気がつけば、いつも温厚な本因坊が近くのおっさんに「犬肉は素晴らしい!」とかカンボジア語で怒鳴り、木村記者はテイクアウトの客に絡んでいました。これも効能のひとつなのでしょうかね?
店主によると、肉は町の野良犬のものではなく、ブレイベン産の食用肉だそうです。
それはさておき、真横がドブ川。風向きが変わるたび凄まじいドブ臭気。蝿はバンバン、埃はもうもう。B型肝炎ワクチン接種済みの私ですら、頭の中でサイレンどころか、避難警報が鳴るレベルでした。
救いだったのは箸がプラスチックだったことかな。前に行った犬肉屋台は木の箸で、それはもう、100年煮染めた雑巾みたいな色でしたから。
嫌そうな顔をしながらも、臓物と犬肉を交互にパクパク、着実に片付けてゆく本因坊&木村記者。ここだけの話、私は一口喰ってあとは食べるふりをしていたのですが、頼もしい二人の姿に感動し、もう一口食べました。そして、ちょっと後悔しました。
気になるお会計は、三人でビールも飲んで驚きの4ドル。何なんだこの安さ……。流石は労働者の社交場! びっくりするほど安いけど、あえてお勧めはしません。
(文・クーロン黒沢)
犬肉店
大きな地図で見る
五枚目の写真、うすら笑いから戦慄漂う…。
街角暗黒グルメ : 超久々に味わう犬肉の歯ごたえ | 後編 http://t.co/YlN3lTzHI3