チャム族の皆さん : 年に一度のメッカ巡礼の旅に出発！

ここだけのカンボジア・ムスリム通信。誇り高きチャム族の皆さんがメッカ巡礼に出発します！

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その日、プノンペン国際空港は大勢のチャム族で埋め尽くされていました。目指すはサウジアラビア、イスラム教の聖地メッカです！

「健全な身体を持つイスラム教徒なら、メッカ巡礼は一生に一度のお勤め」

……と聖典クルアーンにも記されておりますゆえ、犠牲祭の時期になると、人口130万人の街に世界中から300万人の巡礼者が訪れるそうです。

メッカ巡礼は、カンボジアに住むイスラム系少数民族・チャム族にとっても宿願です。古から多くのチャム族が、メッカ巡礼を成し遂げるため、ひとかたならぬ辛酸を嘗めたとか。

しかしそれも昔話。近年はお金次第でなんとでもなります。「チャム族限定・メッカ巡礼豪華約一ヶ月の旅(ガイド付き)」のお値段、ずばり3300ドルなり！安いのか高いのか、良くわかりません。

このツアー、年に一回募集があり、毎回200人から300人のチャム族が参加します。中には一度ならず参加するお金持ちもいれば、この日を夢見て一生分の稼ぎを吐き出す人、すべて借金で賄う人までバラエティ豊か。

出発風景を見ても、小洒落た空港のカフェで時間を潰すチャムがいると思えば、親族郎党引き連れて、今生の別れとばかり出発式をする大家族まで、まさに人生劇場。

晴れて一ヶ月の巡礼を終え帰国すれば、人間的に何も変わらずとも、仲間からはモテモテ、尊敬の目で見られてしまいます。そんな私欲も相まって巡礼ツアーは大人気。行って帰るだけでモテモテなら、拙者もひとつ参加したいものであります。
(文・木村五兵衛)