あやヘリ挑戦のためシミュレーターを買った

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新刊に向けた作業もほぼ終わり(もう間もなく……たぶん……お目見え)、ちょっとした脱力感を感じていたところ、日本から趣味人のA氏が来訪。久々につもる話などしたかったのですが、ちょうどその日、数少ない連載の締め切りだったので私は引き続きお仕事。A氏は散歩に行った。翌日、チャーハンを食べながらA氏。

「黒沢君、プノンペンにもラジコンショップがあったんだね」

ええっ!?

随分前に一軒潰れた(韓国製エアガンとラジコンの中途半端なショップ)のは知ってたけど、またどっかの馬鹿が同じ失敗を繰り返したのか! とまあ、軽く驚いてみたわけです。はい。

この近況のどこかにも書いたように、私には数年前、病に冒されたようにラジコンを買いまくった時期がありんした。ヤフオクで落札しまくり、アキバのラジコンショップに通い、昔から工作系は苦手(買うのは好き。作るのは……)だったのですが、とにかく買った。船から車から飛行機まで、少ない貯金がカラになるくらい。子供の頃買ってもらえなかった反動かもな。

で、埼玉の奥地まで行って走らせたり、プノンペン郊外のドブ川でラジコンボートを動かしたり、そんとき同行していたA氏がスクリューに指を巻き込まれ血まみれになったり──色々な想い出があったものの、飛行機とヘリコプターは未経験。
(飛行機は買ったものの、結局怖くて部屋に飾っただけ)

でですね。ヘリでもなんでも飛ばす趣味人のA氏が見つけた謎のショップ。飛行機からボートから、パーツまで完備した(この国では)本格的な店。壁には中国製の「あやヘリ」が山積みされていた。とのこと。

「あやヘリ」という単語。恥ずかしながら今まで知らなかったが、主にヤフオクで国内メーカーの三分の一、五分の一の値段で叩き売りされている中国製の怪しげな電動ラジコンヘリのことをこう総称するらしい。

挙動が変だったり、安定しなかったりと価格相応とのことだが、そんなあやヘリも独自の進化を遂げ、近頃まあまあのクオリティに到達。日本でも「あやヘリ」収集に熱を上げるマニアが続出。ぶっこわしても安いからいい。適当に遊ぶにはもってこい。気合いを入れればこれはこれで楽しい……などと様々な理由から、まあ、とにかく盛り上がってるんですって!

面白いから行こうぜ。というわけで、いきました市内某所のお店訪問。カンボジア人の経営でごんす。HPIのエンジンバギーをはじめ、巨大エンジンボート、電動ヘリや飛行機が沢山。こんなもの買う奴いるのか? 金持ちの道楽商売。まったく儲かってなさそうなのだけど、店主はラジコンのこととなると喋りっぱなし、カンボジア人のオタクを今日、はじめて発見。

噂のあやヘリは安くて安くて、でも見かけだけは高級チック。典型的な中国プロダクツなのはいいとして、A氏は「買えよ」と勧めるものの、ラジコンヘリとはいわゆる「ラジコンの王様」。初心者は操縦するより修理してる時間の方が間違いなく長いってのが常識。もじもじ躊躇したところ、「じゃあ、これ」と、勧められたのは、ヘリコプター・飛行機など、いわゆる「空モノ」ラジコンの練習ソフトと、練習用プロポ(USB接続)のセットでやんした。お値段30ドル。箱のでかさを考えると死ぬほど安い。

勢いで購入。さっそく家に帰り、震える手で箱を開ける。30ドルにしては巨大すぎるプロポ。付属CDには「FMS」という、この世界では超有名なフリーソフト。ラジコン版のフライトシミュレーターが入ってます。

この「FMS」。一年前に出来心からちょこっと試したことがありました。もともとプロポ接続が前提なので、キーボードではちっとも楽しめず、速攻アンインストール。だが今日は違う。私の手には必殺の中国製USBプロポがある!

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付属CDにはインストール法から飛ばし方まで、薄気味悪いほど親切丁寧なビデオが入っていた(中国語ですが)。これなら私みたいな初心者も心配無用。楽勝だな。と思いきや、4秒に1回のペースで墜落しまくり、本物なら100万円分くらいぶっ壊した後、ようやくフラフラ飛べるようになりました。道は長い……ですな。

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一番の問題は、あまり楽しくないということか?
(文・クーロン黒沢)



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