カンボジアの素:ものうり百景
この記事は90年代にミニコミとして出版したガイドブック「カンボジアの素」に書いた記事を復刻したものです。後年、情報を追記したりしていますが、全体的に古すぎ、記述が攻撃的で、正確ではありませんので、読んで懐かしむ程度でお願い致します。
アンコ-ルワットでは、焼きそば食う為なのか母チャンが不治の病なのかわからないが、とにかく金を稼ぐ為にガイドをしている子供が大勢いる。
やたらと金ばかりせびる奴や、あまり説明をしてくれない奴とか、英単語を10個しか知らないんじゃないかとか思うような奴もいるが、私は置屋の女を選ぶときに培った厳しい目で15・6歳ぐらいの少年をガイドに雇った。
彼はクメール語、タイ語、英語を操ると自称し、さらにフランス語も話せると言う。すげえ。
とにかく、彼はアンコ-ルワットについては異常なほど詳しく、写真を撮るのはこの位置がベストとか、写真を撮るたびカメラにキャップがついているかまで確認してくれるし、回廊のラ-マヤナやマハ-バ-ラタの彫刻の場所では物語を英語で熱く語ってくれた上、パフォ-マンスまでしてくれるというサ-ビスの良さだった。
私が、日本人のせいか「ジャパニ-ズ、ラクガキ」と指差すから日本人観光客の落書きを非難しているのかと思ったら、森本右近太夫とかいう江戸時代にここまで来たとかいう奴の奉書だし。まあ、たしかに落書きに見えるけど。
最上階に行くと、この后?の彫刻だけ口紅が塗ってあるいう細かいことまで教えてくれる。他にもポル・ポト派が撃ちこんだ銃痕の跡とかどうしようもないことまで説明してくれて、つごう三時間近くガイドをしてくれた料金は1$。
皆さんもアンコ-ルワットに行く機会があるのなら、パタヤで女とかオカマとかビーチボーイを買う予定の金を少し減らして、是非、彼らをガイドに雇ってあげてください。(1994・下条)
(文・アジアの素編集部)