カンボジアの素:エイズの処方箋?
この記事は90年代にミニコミとして出版したガイドブック「カンボジアの素」に書いた記事を復刻したものです。後年、情報を追記したりしていますが、全体的に古すぎ、記述が攻撃的で、正確ではありませんので、読んで懐かしむ程度でお願い致します。
エイズ被害が拡大しているカンボジアで、「仏の啓示を受けた私は、エイズを完治できる」とうそぶくクルー・クメール(伝統医療師)が出現し、物議をかもしだしている。
この医療師は新聞などに広告を出して大々的に宣伝し、エイズ患者・感染者にえたいの知れない「治療」を施しているのだが、救いを求める来訪者は引きも切らない。このため、フン・セン首相が国家エイズ委員会に医療師による治療の実態調査を命じる事態になっている──
クルークメールを名乗るチョム・スーさん(32)は、医師の資格はないが、バイタクの運転手をしていた1994年に「バイタクなんかやめて人々を救え!」という仏の啓示があり、仏が夢に現れ、エイズ治療の処方せんまで教えたとの事。
大きな土なべで、木の根や葉を煮て作るこの薬を毎日6リットル以上飲み続ければ、早い人で数カ月でエイズが治るという、うさんくささ極まりない話ですが、国内各地から薬を買い求めに来た人たちで診療所はあふれかえっているということ。
昨年10月からここに入院を続ける人は「下痢・頭痛・発熱で苦しんだが、ここの薬を飲むようになってから症状が消えた」そう。こういった人が続出して、チョムさんの人気は高まり、その人気に続けとばかり、クルー・クメールが相次いで名乗りをあげている。
そして、こうした事態に、国家エイズ委員会は、伝統医療は誤ったエイズ知識を流布し、感染者をむしろ増加させてしまうと受け止め「エイズを治すとささやきかけるクルー・クメールは、あなたをだまそうとしている」という内容の広報を国営テレビで流している。
新聞記事はページの4分の1ほどを使い、かなり大きく取り上げられている。しかも、チョムさん本人が自慢げに治療薬の入った土なべとともに写った写真が載っており、へたするとこの記事を読んだばかな日本人まで騙されてしまいそうな雰囲気。(2000・某)
カンボジアではおなじみ、ジャッキー・チェンがコンドームのコマーシャルに出演しています。むろん営業ではなく奉仕活動の一環です。他にも彼は「ヘルメットをかぶりましょう」広告にも登場しています。どちらもかぶりもの繋がり……。
(文・アジアの素編集部)