黒人にもいい人はいる。広州で財布を紛失。たぶん黒人がやったんだ!

s-0113 すっかり忘れているうちに三月になっちゃいそうなので、ポツポツ思い出したことを更新。1月は本当にろくでもないことばかりだった。筆頭は中国からの帰り道、広州の空港、それも搭乗口の目の前で財布丸ごと紛失!

 出国審査を済ませ「ああ、これで中国の外に出られる!」とゲートの近くで幸せをかみしめていたとき‥‥。何気なく電話をかけようと財布からメモを取り出し、財布を傍らの席の上に起いたまま(つまり置き忘れて)二、三歩歩いた途端、一瞬気が遠くなった。疲れてたのか、それとも地獄から出る幸せに酔ってしまったのかは謎。

 30秒後、我に返ると財布はどっかに消えていた。財布を置いたであろう場所には何故かアフリカ系の黒人が十数名。みーんな、おまえら中国まで何しに来たんだよ! と思わせる格好。つまり、いまから踊りに行くような格好をした思いきりうさん臭い連中だった。

 うさん臭いだけに搭乗前の荷物チェックでも、この黒人軍団だけは殆ど人間扱いされておらず、公安から怒鳴られまくり、蹴りでも入れられそうな雰囲気だった。黒人軍団も殺し屋の目で公安を威嚇していたのは言うまでもない。かなり険悪なムードで、わたしは密かに同情していた。たかが飛行機乗るだけなのに‥‥ と。

 しかし、今となっては同情が疑いに。わたしが座っていた辺りの場所は黒人グループがほぼ占拠していた。中国人も勿論容疑者だが、そのあたりには家族連れが二組ほど。地獄の住人とはいえ、息子や娘の前で他人の財布をパクるような顔には見えない。人種偏見たっぷりだけど、やっぱ黒人だわな!

 でも、正面きって「俺の財布かえせ!」と問い詰められる雰囲気ではなかった。相手は十数名、しかも選り取りみどりの凶悪顔である。コンゴあたりでこめかみにナイフで傷口をあけられ、そこに上官からコカインを塗られ「あの村、一人残らず皆殺しや」とか、やってた過去があるかもしれない。コンゴでは人肉食も盛んと言いますし‥‥。

 まずは王道にのっとり、空港のセキュリティを呼び止めて相談することにした。我ながら情けない。このとき既に財布は諦めていたが、一応ごみ箱から残骸でも出てきたら保管しといてくれ‥‥程度のことである。あの、ちょっと‥‥。

 一応英語で呼び止めると、セキュリティの男は一秒も目を合わせることなく、走って逃げていった。えっ?
 試しにもう一人。反応は同じだった。続けて搭乗ゲートの係員(女性)に話を持ってゆく。あの、英語話せますか? ええ少し‥‥。良かった!、実はですねえ‥‥。
「‥‥そうですか。かわいそうに」
「は?」(別に同情してもらいたくて話した訳ではない)
「よくわかりました。じゃあこれで」
「‥‥ちょっと! あの、紛失届けとか、出したいんですが」
「出せません」

 ああ、中華人民共和国。周りの男性係員は皆目をそらし知らんぷり。そうか、係わり合いになりたくないのかよ‥‥。わかったよ!

 財布はパー。ちなみに第一容疑者の黒人軍団はニコリともせず、私を置いて香港行きの便に乗り込んで消えた。ここでハッと我に返った。クレジットカードとめてねえ‥‥。皆さん、幾ら落ち着いているつもりでも、実際被害に遭ってみればこんなものです。

 慌てて国際電話でカードを止め、所持品再チェック。
 パスポートと搭乗券は無事だったので良かったけど、もしもここでパスポート無かったらどうするんだろう? 中国戻るにも戻れない。プノンペン行くにも行けず、爺さんになって老衰で死ぬまで中国の空港で過ごすのだろうか? たまに日本人ツアー客から施しを受けたりしながら。



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