日曜特別企画 : 渡辺康史のおトイレ探訪 IN プノンペン その3

アジアに長くいると困ることがあります。例えば、美味しいチョコレートが食べたくなったとき──。

おはようございます。渡辺康史(やすし)です。実は私、無類の甘党でして、ここプノンペンにも美味しいチョコレートを出すお店があるんです。王宮裏手に佇む隠れ家っぽい素敵なお店。もちろん、おトイレも素晴らしい。

ほう、目の覚めるような白壁、白亜と申しても差し支えないでしょうか。レンガの壁面に、丁寧に丁寧にモルタルを重ねて仕上げたものですね。オーナーのこだわりと、作業員のいい加減さがぶつかり合って、目の覚める作品が生まれるというわけですねぇ。

向かって右が男性、左が女性という世界のスタンダードを忠実に守った間取り。扉は何と言いましょうか……。おっ、人形が吊るしてありますね。男性、女性の識別を人形で表現してるという……。洒落てますね、素晴らしい。わかりました。

ではちょっと失礼して……。手前に洗面台を配置、奥には便器が構えています。決して広くはない──。広くはありませんが……内壁のクリーム色が室内に入り込んだ光を反射させ、倍くらいの広さに錯覚させるという──。私には見えます。洒落てるなぁ~、参っちゃうな!

「これ消臭剤じゃないの? いいね~。この無骨な円柱形のフォルムから想像もつかない香りがするんだよね。ちょっと嗅いでもいいかな?」

シュッ!

「実にいい香りだ……。わかりました」

便座に腰掛けると、ちょうど目の前のあたりに「便器に紙を捨てるな!」と書いた張り紙があるんです。この張り紙もいいよね。これくらいキツく言われた方が気持ちいいんだよ。わかってるな~。

「うん。隅に置かれた手洗い洗剤の毒々しい色がいいなァ。洗いたいな~って、思わせるよねぇ」

この感じ、うまく伝わってくれるといいんだけどなァ。

美味しいチョコレートを味わい、洒落たおトイレで用を足す。入り口から出口までそつがない。そんな素敵なおトイレでした。
(文・木村五兵衛)

THE SHOP
#39, Street 240, Phnom Penh
092 955 963

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