プノンペン厄除大師で悪霊退散クァッ!

災厄だらけのプノンペン。あなたの人生を無事安泰にするため、厄祓いはいかがでしょうか?

厄除け──日本にも定着する古い習慣。もちろん、カンボジア人も信じており、何か悪いことが重なるたび、貢物のインスタントラーメンを肩に担いで厄落としに出かけます。拙者はそんなもの気にもせずですが……。

先日「ウチの前で死亡事故見ちゃったよ」と、うっかりカンボジア人に話したところ、ピンと来た信心深い彼から「今すぐ厄落としに行きましょう!」と強引に誘われ、人々がごった返すリバーサイドまで嫌々出かける羽目となりました。

シハヌーク殿下が亡くなられてからと言うもの、この界隈は追悼に訪れる人々が後を絶たず、付近の道は連日大渋滞。ごっちゃごちゃに混みあった道を、人垣をかきわけつつ、牛のようなスピードで右へ左へ。「来なきゃよかった」と思ったのは言うまでもありません。

連れて行かれたのは王宮近くに佇む小さな祠(ほこら)。家賃4万8千円のワンルームという感じで、見かけはしょっぱい祠ですが、実はここ、厄落としのパワーゾーンとしてカンボジア中に存在を知られ、地元民にとってはプノンペン人気ベスト3に入る重要スポットなのです。

涼しくなりかけた日暮れ直後のひとときは、この祠が最も賑わうお祈りラッシュタイム。競うようにロウソクの火をかざし、押し合い、へし合いながら、一心不乱に祈りまくる男女。

皆、自分のことで頭がいっぱい。細かいことに無頓着な人も多く、線香の灰がガンガン降り注ぐなか、拙者も祈りを捧げます。

祠の仏像に花と線香を供えれば、とりあえずスタンダードな厄除けは終了。オプションで聖水を振り掛けてもらうこともできます。ハスの葉に包まれた聖水は一袋1000リエル。

これをブツブツ適当な祈りを唱えつつ、自分の頭や顔に塗りたくるだけで、きれいさっぱり厄が落ちるというシステム。念のため、残った聖水をバイクやヘルメットにも軽く振り掛け、交通安全を祈りました。

調子が悪いと感じたり、カラオケ姉ちゃんの生霊に取り憑かれているような不思議感覚に襲われたら、ぜひ一度厄落としをお試しください。できれば、人の少ない時間帯を見計らうようお勧めします。
(文・木村五衛兵)

プノンペン厄除大師

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