プノンペン新ビジネス時代 : 焼け野原のeコマース市場

街中ネットカフェだらけ。どこにいってもフリーWiFiだらけ、中国製の激安スマホだらけ。これだけネット環境が揃いつつ、なぜにネット通販が普及しないのでしょうか?

今年、ドイツ系企業がカンボジアのeコマース市場を開拓すべく “shop.com.kh” という本格オンラインショッピングサイトを設立。競合他社も皆無な原野のど真ん中。成功は約束されたようなもの。あっという間に市場独占だ! と思いきや、わずか数ヶ月で撤退。早すぎる退却の理由とは?

– 多くの人が「ウェブ閲覧」や「動画・音楽のダウンロード」にのみネットを利用。オンラインで買い物をするという発想がない。
そもそもカンボジア人はモノを買う前に、これでもか! と言うほど実物に触り、慎重に購入を決める傾向があります。そうでもしないと不良品やB級、C級品を掴まされてしまうからです。

・市民のクレジットカード所持率が極めて低く、オンライン決済が事実上不可能。
PAYPAL利用者もほとんどいない。たまにスーパーマーケットでクレジットカードをひけらかすローカルを見かけますが、現金決済時の三倍は時間がかかります。

・郵便、配送業者が無く、購入者の自宅に商品を届けられない。
国際便すら、郵便局は原則として配達してくれません(局まで受け取りに行く)。たまに配送してくれますが、どういう基準でそうしてるのか謎です。宅配業者はありません。あるのかもしれませんが多分誰も使ってません。

・カンボジアの税制が、オンラインショップの業務形態に対応しておらず、税務署とトラブルになるケースあり。
たぶん、トラブったんでしょうね……。

代金決済は既に存在する携帯電話の課金譲渡サービスを利用するという手もありますが、一番のネックは配送です。番地のない家もざらにありますので、まだまだ先行きは暗いというのが実情です。
(解説・クーロン黒沢)

カンボジアのインターネット利用人口 250万人 : カンボジア郵政省調べ
カンボジアのFacebook利用人口 65万人(全国民の4%)
オンラインショッピングを利用した経験のある人 約20万人(勘違い含む) : Indochina Research調べ

Cambodia’s e-commerce struggles amid potential



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