工場経営者VS労働組合! 骨肉の争い・賃上げデモ発生

カンボジア縫製業界の法定最低賃金は61ドル。毎日2時間残業して、家賃・食事ひっくるめ、月収100ドルいくかどうか。

ハイ。ここから食費・ガソリン代(この国は公共交通機関が皆無です)を差し引き、実家に仕送りしたら幾ら残るんでしょうか?

ボロッボロの10ドル紙幣一枚がいいところ。みんな、どうやって暮らしてるの? と事あるごとに思うのですが、やっぱり暮らしていけないみたいです。

つい先日も、国境近くの経済特区で大規模ストライキ発生。組合側が最低賃金61ドルを一気に150ドルまでアップするよう要求するも、工場側はにべもなく突っぱねています。

最低賃金をアップすれば「人件費が安い」という最大・最強のメリットが無くなり、誰も投資なんかせんよ。という主張です。さらには「工場閉鎖して、ミャンマーかバングラに移転するぞ!」とささやかな揺さぶりも忘れません。

一方組合側は、隣国の最低賃金(タイは約300ドル/ベトナムは約170ドル)を引き合いに出し、150ドルの要求は妥当と訴え、要求が認められない場合、ワーカーはより高い賃金を求め、タイ・ベトナムへ出稼ぎに行くだろう──と警告。

実際、今も20万人を超えるカンボジア人がタイへ出稼ぎに出ていますし、マレーシア・シンガポールなどへのメイド派遣も拡大中。別に投資なんざしてもらわなくても結構。俺たちは外国で働く! と、こちらの揺さぶりも中々のものです。

カンボジア進出を検討中の工場経営者各位。くれぐれも喧嘩腰にならず、ワーカーの昼飯にオカズを一品追加してやるとか、三時のおやつにマンゴーの漬物を配るとか、さりげない日本風おもてなし心をもって、労働者と接しましょう。

カンボジア人、ブチ切れると後先考えずちゃぶ台ひっくり返す傾向がありますので。
(文・本因坊)

H&M工場デモの様子



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