タイで運転 強制的に名も無き寺に連れて行かれ、おっさんの監視下で撮影を命じられる

s-0037 某ホテルで目覚め、そごうの薬局をひやかしに行く。ここはバイアグラ、ハルシオンはじめ、なんでも売ってくれるすばらしい薬局である。今日はケタミンまで勧めてきやがったが冷やかすに留め、紀伊国屋で暇つぶし用の本を買ったあと、パンティープでDVDを物色。エロDVD売りがウザい。
 辺りがうす暗くなり、北部ドライブの旅に出る時間が近づいてくる。下条君いわく、サイアムスクエアにうまいラーメン屋があるというので出向くが結局見つからず、場末の定食屋であまり美味しくない麺類を腹に入れ、いざ出発。

 しょっぱなから高速でルートを間違え、全く知らない場所へ行ってしまうものの根性で修正し、ナコンサワンを抜けてターク県へ。

 道なりに進むとチェンマイだが、それではつまらないので左に曲がり、ミャンマー国境の町・メーソッドへ向かう。これで何回来たか忘れたほど、私はなぜかこの町が好きだ。

 午前二時、林道を走る。二時間交代で運転していたが、下条君は運転中、ほとんど休憩をはさまない性格のためペースが速い。車内は静まりかえり、眠くなってきたため途中のガソリンスタンドで適当な音楽テープを買うが、これがまたどうしようもなく不気味な曲で逆効果。ガソリンスタンドのトイレに入ると、犬が一匹、ドアに挟まれ苦しげな叫びを上げていた。

 林道を抜けた頃には夜が明けてきて、はるか遠くに連なる山々が実に感動的なシルエットを見せてくれる。と、不気味な大仏がそびえる妙な寺を発見。無数の蛇がうねる台座にあぐらをかき、目つきは凶暴。下からのライティングで大魔神の如き形相。軽く記念写真を撮って、メーソッド市内のホテルに落ち着いた。

s-0036 昼過ぎに起き、近くの食堂でカオマンガイを食べ、国境を越えミャンマーのミヤワディーに入る。借りた車は国境前に路上駐車して、歩いて国境を渡る。

 国境でミャンマーの入場料を払い、うさん臭いガイドをかわし、一年前に行った置屋の遣り手ババアが歩いているのを偶然目撃したりと、それなりに楽しい時間を過ごした。

 下条君はばかでかい一眼レフで市場を撮影。我々はいつしか裏道に入り、あちこちパチパチ撮影しながら適当に歩いていると、突如として目つきの悪いおっさんに道を塞がれる。自称警官。しかし着ているものはルンギ一枚によれよれのティーシャツ。でも目つきの悪さは尋常でない。

「君らはなにを撮影しているんだ。ミャンマーで撮影していいのは寺だけだ! さあ、写真が撮りたいなら俺がついていくから寺に行こう!!」

 という。強制的に名も無き寺に連れて行かれ、おっさんの監視下で撮影を命じられるも、ひねくれた下条君は一枚も撮ろうとせず、迎合する性格の僕は言われるままにシャッターを押したふりをして男を喜ばせ、俺は東京大学出身のインテリで、もうすぐ閣僚になるからミャンマーにたっぶり援助してやるよと言って更に奴を喜ばせ、笑顔でさよなら。死ねクズ! そしてタイに戻った。

 午後は車で山道をぐるぐる走りまわり、町に戻ったのは夜七時ごろ。途中のガソリンスタンドで、今回の旅に絶対必要な重要単語を教わった。それは「ティンタム」。意味はガソリン満タン‥‥だ。

 夜、車を路駐してサムローの男を呼び止め、女のいるところに連れて行ってくれ! と頼む。
 男はニヤリとするが、奴が連れて行ってくれたのはただの民家だった‥‥。そこには家族団欒中の一家がいて、彼らは僕らを見るとサムローの男に「ここは以前、そういう店だったけど、いまは違います‥‥」と説明した。とても恥ずかしく、顔を赤らめスイマセンと謝罪する我々。

 こいつは駄目だから他の男に聞こう、と、近くで別のサムローを呼び止めた。
 女のいるとこに‥‥(以下省略)。サムローはニヤリとした。ただ、奴が連れていってくれたのはさっきの民家で‥‥。

 三台目の男がようやく、うす暗いバーのような場所に連れていってくれたが、女は全員ミャンマー人で会話もへったくれもない状態。全くもって間が持たず、でも時計を見るとまだ夜の九時だったりして、田舎の夜は長い‥‥。



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