忘れ形見「エルビス・プレスリーのそっくりさんコンテスト・イン・フィリピン」

s-0104 昨晩、NHKの海外放送を観ていたら、アジア系の某生活情報番組で「エルビス・プレスリーのそっくりさんコンテストinフィリピン」を紹介していた。優勝者はアメリカにあるエルビスの生家にご招待という特典つきだけあって、参加者も分厚いカツラや化粧を塗りたくりながらステージで熱演していた。

 で、エルビスに扮した参加者たちが踊り・唄い狂うステージの背面にスクリーンがあって、そこに映し出された幻想的な幾何学模様に目が釘付けになってしまったのである。3DOに音楽CDを入れたときの、あの画面じゃないか!
 知ってる人は知っている、知らない人は誰も知らない3DO‥‥。アメリカ生まれのメーカーの枠を超えた共通仕様マシン。日本ではパナソニックが1994年にREALというマシンを発表。CD- ROM内蔵。価格五万円くらい。3DOマガジンという情報誌も3号だか4号くらいまで書店に並んでいたような記憶が‥‥。

 この3DO。音楽CDを入れると音楽にあわせ色彩や模様が変化するデモ画面が楽しめる。ワープの飯野氏がソフト不足なパナソニックの足元を見た裏技でカネ儲けしていたとか、いまでも田舎のハードオフに行くと比較的安く手に入る。といった感じの思い出が色々脳裏をよぎった。

 当時、香港では3DOのコピーソフトが叩き売りされていた真っ最中だった。もちろん、私は発売されたソフトの殆どをコピーで手に入れていた。わざわざ書かなくても周知のとおり、それらは糞ばかり(ロードラッシュとか、2-3本面白いものもあったけど)。ただ、音楽CDを入れたときのデモだけは秀逸で、当時、同じような機能を持つ機会は他になかった。てなわけで、我が家では主にCDプレイヤーとして活躍していた。

 はじめにビックカメラで買った一台が不良品で、変声期前のかん高い声でクレームの電話を入れたら、わざわざ大阪から3DO事業部の偉い人が新幹線で代替品を持ってきた──というユーザー泣かせの心配りにも感動して、ついついオプションの(一万円くらいする)純正ビデオCD再生アダプタまで購入してしまうが、 CDドライブが等倍速なのでカクカクしまくり、ビデオCDってのはとてつもないマシンパワーがないと再生できねえんだ‥‥という間違った認識まで植え付けられてしまうことに。

 ともあれ、フィリピンで行われた催しがきっかけで、再び3DOという文字をグーグルにいれてみると、世の中には3DOの筐体から中味を全て取り出してゴミ箱に入れ、余ったケースにDVD-ROMドライブやマザーボードを入れてPCとして使っている人(ジョイスティックの部分にはUSBポートが)など、まだまだ有効活用されているようでひと安心。フィリピンでも有効活用されているようでふた安心。生き別れになった腹違いの兄弟(ダウン症)がアフリカの小国で有名な外交官になったのを新聞で知った……みたいな、妙な安心感を味わうことができた。



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