池袋のピーコ伯爵:生涯かけて集めたデータ

s-0152今年も東京の石陰さん(仮名)宅を訪問した。石陰さんはひと月に購入する生DVDのポイントで自転車やらなにやら楽勝でもらえる。つまり、それだけのデータを蓄積している。現在、推定15テラバイト。でもって一日平均4-5ギガくらいずつ増えてゆく。

床に転がるむき出しのIDEハードディスクには、それぞれ「鈴木」だの「田中」といった名前がマジックで殴り書きしてある。無機質なハードディスクをそれぞれニックネームで管理するにせよ「ジョニー」とか「スティーブ」とか、もっと気の利いた名前があるだろうに……と意見すると、そうじゃなく、これらはリアル交換会で借りてきた他人のハードディスク。コピーしたら返さないといけないから持ち主の名前を書いたんだ。と諭された。なるほど。

二台のマシンでダウンロード。三台目のマシンは焼き専用。四台目のマシンはゲーム専用。ルータのランプは24時間火でも吹きそうな勢いでつきっぱなし。四畳半の部屋は、時間が無いからたぶん死ぬまで見れない(本人談)データが詰まったDVDやらハードディスクが縦に積まれ、横に積まれ、震度4でも死人が出そうな集積度。

いま震度7の地震が来たら……。ハードディスクやDVD、巨大なLDBOXセット(懐かしい……山ほどある)の箱とかに頭を直撃され、俺も死ぬ運命にあるのか。私は良いとして、万が一消防隊員に助け出されたとしても、部屋が倒壊しようものなら石陰さんは発狂するに違いない。なんせ、生涯かけて集めたデータですから。

そのためのバックアップ。ということで、石陰さんは私が持ち込んだ生ハードディスクに気前良くバンバンデータをくれる。でも、石陰さんと私は全然趣味が違うので、銀英伝全話とか、サンダーバード全話とか貰っても余り嬉しくないのは事実。でも貰う。

恐らく、日本全国に石陰さんみたいな人は千人くらいいるんじゃないか? あちこちにしょぼい図書館やら公民館を作るカネがあるなら、こうした殉教者に少しでいいから補助金出してやればいいのに……。でも、それは法的にちょっとまずいかな。とか考えつつ、アイスを食べた。
(文・クーロン黒沢)



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