プノンペン街歩き : ド根性鉢植え
根性、根性、ド根性! 山谷ブルースを口ずさみながらお届けします。
画像はプノンペンの目抜き通り、カンプチアクロム通りとモニボン通りがぶつかる交差点の様子です。
アスファルトの亀裂から芽を出し、力強く、そして辛抱強く成長する植物を、人は「ど根性植物」と呼ぶ。参考までにこちらは道路から生えてきたものではなく、人の手で据え置かれた鉢植えの木。
東京に例えるなら、山手通りと駒沢通りが交わる幹線道路のど真ん中に、人丈ほどの鉢植えが突然現れたと思っていただければ。信じられない話ですが、プノンペンでは非常によくある光景です。
ま、大概は車道の陥没部に突き刺さった木の枝を目にする程度ですが、つまりは通行車両に道路の穴ぼこを知らせるため、誰かさんがここに刺していった善意のたまもの。
交通量の激しい朝夕のラッシュ時など、この「善意」に気が付かないまま、避け損なって転倒するバイクが跡を絶ちません。
我が国でも、夜中にワルガキどもが道路に張ったピアノ線で、新聞配達の方々が大ケガをする……みたいな事件がニュースで流れますが、こちらの鉢植えは決してイタズラではなく、100%の善意なのです。
「道路の大穴をセメントで補修しました。固まるまで踏まないでね!」
自腹を切ってセメント購入、無許可で道路補修をやり遂げた心優しい近所のおせっかい親父が、ドライバーに目立つよう自慢の鉢植えを車道にセット。止めようとする者は皆無。道の穴ぼこには要注意ですが、それを知らせる木の枝にも、十分ご注意あれ。
(文・本因坊)