シティキャット:援交カフェ事件を振り返って

ロシア通り沿いにそびえる巨大ハラール・カフェ「シティキャット」を舞台に暗躍したやり手ママさん。ついに逮捕!

プノンペン中心部から若干離れたロシア通り沿いの一角に、やたらだだっ広い喫茶店「シティキャット」があります。マレー系の経営で、ハラール・フードが充実。会議用の個室は密談にぴったり。隣のボックスと壁で仕切られた半個室はカップル御用達といった感じの、少々怪しげなカフェです。

私、この店を雀荘代わりに使っていた過去があり……。半個室に麻雀牌を持込んで、昼から晩まで日課の手積み麻雀。警察の指導かなんかでカフェ内でテーブルゲームがやりにくくなって封印しましたが、少なくとも500回は通いました。

閑話休題。もちろん麻雀なんてしてたのは我々だけで、周りの個室を眺めて見れば、真昼間から照明を落とし、暗がりで男女が睦み合っています。

他の似たようなカフェでも、ぴったりくっついた学生風カップルが互いを見つめ合う……程度の微笑ましい光景はよく目にしますが、この店の客は明らかに傾向と次元が違いました。シワひとつないシャツに高そうな時計をはめた高級車のおっさんと、どう見てもプロとしか思えない姉ちゃんのちぐはぐな組み合わせ。しかも、ここで書けないほど濃厚なことをしてたりして……。にぶい私も、何か臭う! と常々感じてはいました。

それからしばらくして……。オールドマーケット近くでヘアサロンを経営するド派手な女性オーナーが逮捕されます。容疑者のChun Srey Noch(38歳、通称ママ)はサロン経営の傍ら、田舎から集めた若い女の子を自分の店で磨き、太らせ、色っぽいのを厳選して、金持ちや有力者相手に斡旋する新事業を開始。でもって、女の子と客との顔合わせ場所として選んだのが、件のシティキャットカフェなのでした。

半個室でいちゃつき、近所のラブホにしけこむ──というシステムはあっと言う間に口コミで広まり、ママさんのケータイは鳴りっぱなし。とばっちりを喰った件のイスラムカフェはすっかり組織の一員扱い、ある日突然、憲兵隊と警察の群れに踏み込まれ……。

この店のナシ・レマックが大好物の私、密かに店の安否を案じていたのですが、幸い今日も平常運転中。店内で色っぽいお姉さんを見かける頻度は減りましたが、何を食べてもそれなりに美味しい貴重なお店なので、これからも末永く繁盛していただきたいものです。
(抄訳・クーロン黒沢)

シティキャット

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