詐欺師の季節になりました:プノンペン詐欺師注意報
プノンペン来訪中のやさぐれ旅行人・DJ北林からの海外安全情報!
顔と足のバランスが何か妙な女がウェイトレスを勤めるプノンペンの聖地「つうちゃん食堂(近日閉店)」に座り、汗をふきふき、閑散とした店内で濃いコーヒーをすすっていたDJ。
そこに突然、やつれ果てた日本人バックパッカーがひとり駆け込んでくるなり「あ、あのう……。もしかして、コチラにお住まいの方ですか?」と、恐る恐る声をかけた。
「き、聞いてください、実は──」
バックパッカーは力なく、哀れな身の上を語った。
東南アジアを周遊すべく、小金を懐に通ちゃん食堂でちょっと贅沢なランチを楽しんでいたバックパッカー。そこにふらりと現れた謎の男たち。マレーシア人が一人と、日本人二人の怪しいトリオ。うち一人は片目。片目ってオイ……。
彼らは親しげにバックパッカーに話しかけるや、旅行代理店の名刺を切り、一杯30円程のコーヒーを気前良く奢ったりしつつの自慢話を浴びせ、猛スピードで信用を得るや、10万円の金を寸借してドロドロドロ……ドロン。一丁上がり。
バックパッカーは悔しさで頬を濡らしながらも「実は三人のうち一人の写真があるんです」と、口半開きのDJに詐欺師のデジカメ画像を見せたのだった……。
「ほら、この片目がおかしいのが自称松ちゃんっていって、詐欺師だけど結構いい人なんすよ。僕、松ちゃんがご飯食べられるなら、10万円くらい、いいかなって……」
が、ドロドロにストーンしていたDJは真っ赤に充血した瞳で虚空を見つめ、よだれを垂らすばかり……。これにて一件落着。このほか、セントラルマーケット周辺では(自称)オーストラリア人三人組がパッカーを取り囲み、半ば無理矢理小銭をせびるという事件が続発中。カモられないよう注意。
写真はプノンペン市内にできたミャンマーレストラン。たぶんもう潰れてると思います。なぜって……。まずいから。
(文・クーロン黒沢)