PPカメラ事情 : 仁義無きCN戦争。ニコン、カンボジア進出
オリンピックイヤーのたびに再燃する、血で血を洗う骨肉の争い。人はそれを畏敬の念を込め「CN戦争」と呼ぶ──。
CとはCANONのC。
NとはNIKONのN。
世界に知らぬ者のない、日本が誇る二大カメラメーカー。
オートフォーカス、デジタル化してからというもの、すっかりキヤノンにやられっぱなしのニコン。しかしながら「報道のニコン」「壊れない」「どんな状況でも撮れる」という強みは未だ健在で、世界中の報道関係者が絶対の信頼を寄せています。
ニコンは先代のフラッグシップ機「D3」でキヤノンとの差を縮め、ロンドン五輪では最新機種「D4」を投入し、キヤノン「1D」と真っ向勝負。両者が勝利宣言を行う前代未聞の展開に……。
そんな競争の余波がここにも──っと、東南アジア有数の貧困国であるカンボジアにも、両社の旗艦店がいよいよ出揃いました。自他共に認めるキヤノンの奴隷である私は、昨年プノンペンのシハヌーク通りにオープンしたキヤノン代理店詣でを、これまで欠かしたことがありませんでした。
ところが今回、ちょっと離れたロシア通り沿いにニコンの旗艦店が新規オープンしたと聞いて心揺れ動き、こっそりバイクで訪ねてみたわけです。懐には、脇差であるキャノンパワーショットS95を忍ばせ……。
流石は旗艦店と言うだけあってピッカピカ。キレイすぎて足がすくんでしまうほど美しい。内装だけ見たら「銀座店です」とキャプションを付けてもバレなさそうなほど隙がありません。
客が一人もいないのに、店内のサムスンテレビでPV流しまくり。これが噂のワールドクラス・ホスピタリティー? ローカルの店なら電気代惜しさに二分で消してしまうでしょう。
店員のお姉さん方も、私の慣れ親しんだヨドバシカメラ、ビックカメラの店員とは大違い。
あいにくこの日、私はうっかりして、浅草駅の地下道で座り込んでる人々によく似た服を着ていました。そう。秒速で己の身なりを深く反省せざるを得ないくらいの、あからさまに蔑んだ目で睨まれてしまったのです。
展示カメラは同社の誇る一眼レフのDシリーズ、Dシリーズを支えるニッコールレンズ群、アクセサリー、そしてコンパクトカメラと充実しています。どうでもいいけど、ニコン印のTシャツやキャップも売ってます。
展示台の最上段には、最新のD4様が鎮座しておられ、価格は7450ドルなり。誰が買うんだD4……。ローカル店は仕入れすらできない最高級品。う~む。すごい。
体験コーナーで私もいじらせて頂きましたが、ほぼ初体験のニコン機に戸惑いまくりで、傍からみたら本当にただの初心者の冷やかしにしか見えなかったと思います。色々なプレッシャーでお腹が痛くなってきた私は、適当に写真を撮っているふりをしながら、早々に退散しました。
こちらの旗艦店、1階がショールーム、2階がサービスセンター、3階が多目的スペースということで、販売から修理から個展まで通しで面倒見てくれそうなすばらしい陣容。余談ですけど修理スタッフはマレーシア人です。
さてここで、補足までにキャノン側の状況も記しておきます。
キヤノン陣営も一応、プノンペン市内にサービスセンターなるものを開いています。格好だけならニコンよりキレイかもしれない立派な建物です。
だけどこのサービスセンター、サービス心のかけらすら感じないお役所みたいなところで、私は好きになれません。なにせ、営業時間が10時〜5時(途中2時間休憩)。土日祝日休みです。昼休み二時間って……
ニコンユーザーではない私は、ニコンのサービスセンターがどこまで親切かわかりませんが、その辺はプノンペン在住のニコン愛好家に判断を委ねたいと思います。
神話も先入観もなく、カンボジアではこれまでキヤノンにやられっぱなしだったニコン。何処のカメラ店もキヤノン王道で、私が思うにカンボジアでのシェアは、キヤノン7、ニコン2、その他大勢1といったところ。このまま完全に定着するかと思われましたが、新興市場であるカンボジアにここまでのテコ入れをするとは、ちょっと見直しました。性能面でもアフターケアでも、徐々に差を詰められつつあるキヤノン。いつまで持ちこたえられるのでしょう?
(文・木村五兵衛)
NIKON SHOWROOM
#30 Russian Blvd. Phser DepoIII, Toul Kork, Phnom Penh
023 988 067
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なんと。ニコンの猛追。@kurosawa6502 プノンペンカメラ事情 : 仁義無きCN戦争。ニコン、カンボジア進出 http://t.co/hnpilG8Z