カンボジアの素:大人のビデオゲーム
この記事は90年代にミニコミとして出版したガイドブック「カンボジアの素」に書いた記事を復刻したものです。後年、情報を追記したりしていますが、全体的に古すぎ、記述が攻撃的で、正確ではありませんので、読んで懐かしむ程度でお願い致します。
大通り沿いに「ビデオゲーム」と扉に英語で書いてある謎の店を発見。扉のガラスには黒いフィルムが貼ってあって中が見えないので取り敢えず突入。入口に呼び込みの兄ちゃんがいたのがとても怪しくて素晴らしく印象的だった。
店内はピンク一色に塗装され暗いつくり。奥からは化粧の厚いおねえちゃんが登場。ヤバイかなと危険を感じたが、現金はそれ程身につけてなかったので気をとりなおしつつ店内をながめると、両脇にスロットマシンのビデオゲームが並んでいる。お姉ちゃんの説明では、5USドルで500クレジット入れてくれるそうだ。
せっかく入ったことだし、やってみっかと5ドルを彼女に渡すと、機械をグリグリいじって500クレジット入れてくれた。ゲームをやりはじめると私の両側には女の子が座り、手を握ったりしてきて、ドリンク飲む?などと聞いてくる。私はぼったくり飲み屋なのか!?。とボラれるのを恐れ、申し出を断わりながら落ち着かない気分でゲームをやり続けた。肝心のスロットは結構簡単にガバガバ当たりまくって終わらない。
時々、横にいる姉ちゃんが私に代わってプレイするのだが、彼女たちも上手で全然終わらない。なので15分で飽きてしまい、もうそろそろいいやと帰ることにした。クレジットはその時1000。
帰ろうとすると姉ちゃんが引き留める、奥に連れていかれたので法外な料金を請求されるのか!と思いきや、姉ちゃんは私に10ドルくれたのだった。つまり、これはギャンブルそのもので、クレジット100ごとに1ドル貰える仕組になっていたのである。道理でプレイ代5ドルとやけに高いワケである。ガキ用のゲーセンなら1時間いても1500リエルだもんなあ。
というわけで5ドル儲かってしまった。たった5ドルと言うなかれ。シクロなら2日分くらいの稼ぎに相当するのだ。たったの15分でカンボジア人から金を貰えるとは!。だけどこんなに簡単でよく店が維持できるなあ……。
ちなみにこの店、夜12時まで営業。どうでもいいけど女の子は22歳と20歳。夕方からは地元民のおやじでにぎわっている。我々の募金はこういう所でみんな消えてしまうのだろうか。だとしたらちょっと空しい。(1994・K)
町中こういうポーカーゲーム屋だらけだった不健全な時期もあるんですが、その後賭博追放運動のせいでプノンペンから表向きこの手の店は消えました。(カジノはまだ営業してますが)でも、場末のベトナムカフェなんかに行くと、ひっそりとマシンが生き残ってたりします。(2004)
(文・アジアの素編集部)