カンボジアの素：栄養ドリンク

この記事は90年代にミニコミとして出版したガイドブック「カンボジアの素」に書いた記事を復刻したものです。後年、情報を追記したりしていますが、全体的に古すぎ、記述が攻撃的で、正確ではありませんので、読んで懐かしむ程度でお願い致します。

タイの労働者なら誰でも1日1本は飲んでいる(たぶん)国民的ブルーカラー飲料・カチンデン(別名レッドブル)。

蛍光イエローの液体には大量のカフェインが入ってて眠気さっぱり。沢山飲むと胸焼け。体調の悪ときパカ飲みして死んだ人も何名かいるので、特に心臓の悪い人は要注意。

いまではレッド・ブルという名前でヨーロッパにも輸出され、あっちでは若者のおしゃれなドリンクとして認知されてるとかニュースで見たことあるが、本当でしょうか？

それとも単に騙されてるだけなんでしょうか。向こうではウォッカで割ったりするらしい。ちなみに労働者は卵の黄身とか白身と混ぜたりもする。ソーダと安酒を混ぜてもうまい。でも早死にしそう。

タイにはM150、カラバオデン、シャークなど、カチンデンの類似商品が星の数ほどある。なかでもM150はカチンデンに迫るブランドで、海外進出にも熱心。

カンボジアには90年代半ばから終わりにかけて「けんど」という謎のドリンクがあった。その名の通り、「剣道」の面をかぶった男(?)が竹刀を振り上げている絵がラベルに描かれ、「けんど」と、ひらがなの商品名がゴシック体で印刷してあった。味はカチンデンをクスリ臭くしたような感じ。でもまあまあ美味しくて愛飲していた。ラベルの日本語(成分表など)もムチャクチャで、おみやげにすると大変喜ばれたのを記憶している。

当時の「けんど」はカンボジアの栄養ドリンク市場をほぼシメていて、栄養ドリンク=けんど。「けんど」と言えば、「はい、けんど」ということで、余計な説明は不用だった。ところがそんな「けんど」が突如として90年代おわりに市場から一本残らず消え去り、かわりにタイ製のカチンデンが大量に入ってくる。

カチンデンはコチョールという名で呼ばれ親しまれ、かつての国民飲料「けんど」は欲しくても手に入らない明朝の陶磁器みたいな存在になってしまった。で、 M150もカンボジア進出。後発のためイメージキャラクターにジャッキー・チェンを使ったりしてがんばっています。許可とってるのか知らないけど。 (2005・K)

追伸。けんどの瓶も写真もどこかに行ってしまいました。探したらここでラベルを保存している人を発見。貴重なのでリンクしておきます。

【けんど】は知ってる？　偽のメイド・イン・ジャパンは世界中に腐る程あるが、これ程変なモノは見た事がない。プノンペンで普通に売られている栄養補給ドリンク。その名も「ＫＥＮＤＯ」。

初めてソレを飲んだのは、セントラルマーケット前の食堂だった。メニューのドリンク欄を見ると、一番下に汚い字で「ＫＥＮＤＯ」と書いてある。オヤジにソレを指さすと「オー！ケンド」と叫び、瓶と氷の入ったコップを持って来た。瓶にはローマ字の他に、太ゴシックひらがなでデカデカ「けんど」と印刷されている。斜め下には「飲み物」と小さく書いてあり、ダメ押しで後ろの効能欄を見ると、もう間違いだらけの日本語で「エネルギーができるための飲み物。大人には一回に一本飲むことができる。冷やしたらっおいしくなる。合成香り、合成匂いが使われる」と書いてあった。ちなみにその下には、中国語で同じ事が書いてあった。

私はコレを大量に欲しくなってしまい、町の雑貨屋にて２ダース程買い求めた。ちなみに１本1500リエル。１ダース買うと専用のケースがついている。このケースにも怪しい日本語で凄い事が書いてあった。以下に引用しよう。

「製造地：京都・東京・日本。製造される。けんど。東京、日本に」
「子供と妊婦は飲まない方がいい。患者は医者にかかるべきである」

日本に持って帰って大丈夫なんだろうか。それ以前にカンボジア出国時が心配だなあ……でも、いらぬ心配だったようだ。空港の係員達(カンボジア)はＫＥＮＤＯを見ると一様に「オー！ケンド」とニッコリ叫んで、ノーチェックで搭乗させてくれた。ヒヒヒ。(1994・K)

雑貨屋の壁に「けんど」協賛のイベントのポスターとかあったりして、こっちではコカコーラ的イメージがあるのかもしれないななんて思った。……けど、本家本元のRED BULLが本格進出したためぶっ潰されました。

ちなみにこの手のエネルギードリンクをカンボジアでは「コチョール」と呼びます。M-150も大好評。まったく関係ないですが、大きめのガソリンスタンドで満タン入れたりすると、この手のドリンクやお菓子を大量にもらえます。それだけ競争が激しいのです。ああでもけんど。また飲みたい。(2004)
(文・アジアの素編集部)