ひとくちブックガイド:白人はお断りだ。面倒だからな

31052016

タイ・カンボジア国境のG村……。かつての浮浪児時代、変態ペド白人(ゲイ)に尻の味を覚えさせられたチューンはいま、児童売春組織のブローカーとして卸元の悪魔ババアと値段交渉をするまでにたくましく成長していた──。

ルーマニア人の女の子(10歳)を八千バーツで持って行け! とババアに凄まれ「白人はお断りだ。面倒だからな」と断るチューン。でも、どうしてカンボジア国境のG村にルーマニア人の女の子が!? いや、幼児売買のルートは複雑になっているのだ! なるほど……信じる者は救われる。

というわけで、染石日氏の児童売春ノワール「闇の子供たち」は、アジア幼児売買の実態をリアルに描いたハードボイルド小説。

パッポンにほど近いスリウォン通りの一角に、マニアたちの間で通称「プチ・ガトー(小さなお菓子)」と渾名される古びたホテルがある。実はここ、ペドに子供を斡旋する秘密クラブなのであった。

従業員も変態なら経営者も変態。もちろん客はド変態。地下室には常時10名以上の子供達が監禁されていて、世界のペドにその名が知れ渡っている。付近は収賄警官がガッチリガード。セキュリティは万全だ。ちなみに料金は初物で1100バーツ(言い値は1200バーツ)。余談だが、ケツにバットが入れられそうな年季の入ったパッポンのオカマでも、今時ショートで1500バーツ請求するご時世だというのに少々安すぎはしませんか?

と思ったら、舞台は現代じゃないみたいだ。なるほど納得!

で、この本。全400ページ中、控えめに見積もっても1/5はえぐいセックスシーン。なおかつ成人VS成人のセックスではなく、ぜーんぶペドがらみ。下手するとペド向けエロ小説としても売れそうな濃厚描写でゲイ、レズ、SM、薬物、複数プレイ、なんでもありの野放図ペド地獄絵が展開される。

市民団体の人とか見たらヤバくねえかなあ。と思ったが、主人公は子供売春に反対するNGOの女の子だったりするので、市民系への免罪符はバッチリ。安心して読み進める。

ビデオ業者の矢田はプチ・ガトーの常連だ。お気に入りの子供を男女5人揃えて変態三昧、ビデオ撮影を拒否すると殴り、タバコの火を押し付け、性器に持参した水溶き片栗粉(擬似精子)をたらして作品を仕上げ、日本の私書箱に送る。こうすればバレないぜ。ヒッヒッ。だそーで。

NGOの音羽恵子はそんな変態どもを退治しようとあれこれ手を尽くすが、変態は変態なりに用心深く、なかなかうまくいかず、かえって泥沼に……。犯罪集団もNGOの接近に近づき、脅迫やスパイ、暗殺と手段を選ばす音羽たちを攻撃する!

NGOってカッコいい。と、これを読んで深く考えず、そのへんのNGOに入ってしまうと多分来年の今ぐらいに深く後悔することになると思う次第。どうでもいいけど、オチはちょっと……。
(文・クーロン黒沢)



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