謎の市バス登場 歩こうとしてもバイタクが2メートルおきに声をかけてくる
プノンペンでは今月1日から日本の援助で一ヶ月間、料金800リエル(確か)の市バスがテスト運行を開始。
これまでも市バスらしきものが度々運行されていた。ただしプノンペンと郊外を(例えるならば東京と大宮とか)結ぶ路線ばかりで、市内には止まらず使い勝手が悪かった。
「日本人の買春パッカー軍団が12キロ先の売春村へ行くのにバスを愛用している」という話は聞いたことある。だが、そんな彼らも市内の移動はバイタクを使っている。
なんせ、雑草の如くどこにでもいるし値段も安い。そもそもカンボジア人というのは貧乏で苦労ばかりしている──という間違った先入観があるようだが、普通のプノンペン市民は10メートル先まで歩くのも面倒くせえというものぐさばかり。
まともに歩こうとしてもそのへんのバイタクが2メートルおきに声をかけてくるので、うざったくて歩く気にもならない。10メートル歩こうとすると、推定五回はバイタクから呼び止められる。
「バイタクの皆さんへ。私は歩きたいんだ!」というカンボジア語のティーシャツを作ろうとしたこともある。だが、読み書きできないバイタクドライバーが多いと聞き、断念。そんな冗談はさておき‥‥。
今回の「市バス試験走行」で最もカンボジアらしいと思ったのが、この期間中、バスの主要コースとなる幹線道路でバイクとシクロの走行を禁止するという一方的な通達。市民サービスより渋滞緩和が目的ということもあるが、いきなり禁止しなくても……。
シクロやバイタクにも全米トラック協会のように強力な圧力団体がバックについていればいいのに。ま、例えカンボジアシクロ協会があったとしても、事務局の光熱費だけで破産してしまうかもしれない。
ところが、実際六月に入って市内をウロウロしてみると、シクロとバイタクが進入禁止なはずだった通りには、いつも通り彼らの姿が。問題の市バスは予定とおり五分おきに走っているそうだが、今のところその雄姿を拝むことはできていない。