日曜特別企画 : 渡辺康史のおトイレ探訪 IN プノンペン・その1
おはようございます。渡辺康史(やすし)です。私と一緒に、プノンペンの素敵なおトイレを覗いてみませんか?
「寿司屋の良し悪しは玉子でわかる」なんて、よく言いますよね。私はね……。
おトイレってのはつまりね 言うなればお寿司屋さんの玉子のようなものと思ってます。全ての始まりであり、終わりである。そう思います。
世界のトイレを見つめ続けて30年の私がお届けする、おトイレ情報。実用面においても計算され尽くした、素晴らしいお便所、いや、おトイレを紹介します。
今回私が訪れたのは、プノンペン中心部から空港方面へ延びるロシア通り沿いのガソリンスタンド “TELA” のおトイレ。
ここプノンペンは旅の起点でもあります。お家で用を足し忘れた方、旅の緊張感からお腹を壊された方など、多くのファンが足しげく出入りする人気のおトイレです。
外装はレンガとモルタル壁。白ペンキ仕上げの頑丈な作りです。万一地震があっても安心の強度ですね。女性・男性、性別問わず、癒しの時間を演出する小洒落たプライベート空間です。
そして内部に失礼しますと、黒いタイル張りのフロアに目の覚めるような白壁。計算され尽くした便座と洗面の配置。
「失礼します。壁面はモルタルですかねえ? 職人の心意気を感じるような……。う~ん……素晴らしい。わかりました」
便器の方に目を移しますと、西部劇にでも出てきそうなスプリング式の両開き扉付き。適度な閉塞感を与えつつ、非常事態を想定したスムースなアクセス。設計士さんの素敵なセンスが光ってるなァ。
「こちらも素晴らしい……。わかりました」
便器はプノンペンスタンダード。タイのトップメーカー「COTTO」 の製品です。焼きの具合がたまりません。そしてなぜか、ありえない間隔で二台並んでいます。
普通なら一枚の扉で一台の便器が常識ですが、常識を打ち破ったカップル用のトイレなんです……。場所柄、異性カップルでは入れないだけに、何から何まで型破りですねえ。
「いやァ……この至近距離がたまらなぃなァ。連れションなんかしたら、最高だろうなァ。素晴らしい……。ではちょっと私も失礼して──」
「これ、あれですね。用を足すときに隣の人と肘か何かが触れあいますよね、いや、良いですね~ぇこれ、すきだなぁ」
「いや~すっきりした、実にすっきりしました。わかりました」
……。いかがでしたでしょうか。
内壁、外壁と床面の絶妙なカラーリング。シックな都会風の素敵なおトイレでした。私も今まで沢山のおトイレを訪問させて頂いておりますが、これほど挑戦的で意外性のある設計・配置は、初めてですねえ……。隣との触れ合いも楽しめる、たまらない空間です。
連れションの、連れションによる、連れションの為のおトイレ
アメリカ合衆国16代大統領、リンカーンの言葉で締めさせていただきます。
(文・木村五兵衛)
今回のおトイレ | TELA STATION
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