暗黒面 : 実録クマエの小金持ち、接触事故でご立腹の巻

銭、銭、銭！ 銭が全ての悲しい世の中。ああこれも時代の流れなのか！

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「成金」という言葉がありますけど、カンボジアはまさに今、新興成金と呼ばれる人々が幅を利かせ、人生を謳歌しております。

ある日突然、なにかの拍子に巨万の富を手に入れてしまった彼ら、食べるものにも困る生活から、突如としてiPhone5、ドラッグ・ディーラーさながらの大型車をはじめとする定番アイテムで武装。社交界の名士を目指す──。誰もが憧れるシンデレラストーリーのようですが、実際傍から見ると美しくないシーンが多すぎて……。

この日、プノンペン市内の裏路地で接触事故を起こした新興成金母子のキャデラック・エスカレード。相手は韓国製カブのバイクタクシー。どっちが悪いかは神様だけが知っている。という感じですが、戦う前から勝敗は決まったも同然でした。

「てめえ、しょっぺえ運転しやがって！」

とばかり、肩を怒らせ助手席から降り立つ成金息子。育ちの悪さが全身からにじみ出ています。運転席ではふてくされた表情の赤毛ママ。スマホ片手に視線を合わそうともせず、エアコンの効いた車内で仏頂面。

でもって、何かが壊れたこの親子、人目もはばからず接触したバイクタクシーのおやじに放送禁止用語の雨あられ。車体の傷なんて大したことないのに、まるで廃車にでもされたかの如き怒りっぷり。

周りの野次馬も流石に引き気味で、バイタクのおやじに至っては早くも泣きべそです。可哀想に……。

ほどなくしてポリスが駆けつけますが、相手がややこしそうな小金持ちと見るや意気消沈。もうどうでもいいから早く帰って一服したい……みたいな顔で事情聴取。成金親子はここでも罵声の嵐。しまいには警察官までひっくるめて加害者扱い。なんなんだこいつら？ いたたまれなくて見ていられず、拙者たまらず退散。

近頃、投資話や何やらで、この国の金持ち・権力者とつるみたがる日本人が増えておりますが、相手の人間性を確認してから話を進めていただきたいものです。

おっさん、年の瀬にツイてなかったね。でもきっと来年、いいことあるよ。
(文・木村五衛兵)