喪服女子が応対する微妙なコスメ店で癒された
メイドが店員をやってる店があるって聞いて、さっそく馳せ参じました!
最近すっかり変な役回り、だけど何が心地良い。
カンボジア在住の変態諸君、メイドさんがウヨウヨいるお店、御存知ですか? オーナーの歪んだ趣味丸出しという変なコスメ店がプノンペンに登場です。まぁね、自分も立派な変態なので、ちょっくら行ってきましたよ。
今回ご紹介する「KARMRAT」は178ストリートと51ストリートの交差点、シソワット高校隣です。場所柄、手頃な少女向け価格帯の商品がずらり。すべて韓国製のようです。
そんなことはどうでもいい。メイドはどこじゃ-!
なまはげを思わせる拙者の雄叫びに引き気味の店員。ごめんなさい。ところがです、目を皿のようにして探してもメイドらしき店員はいません。みんな、喪服のような黒づくめ。おい! 話し違うよ! それ、日本だと人が死んだとき着る服だよ! 遠回しに制服を指摘すると、
「私、働き始めて5日目なんです」
と、推定18歳のスレイピッチちゃんが律儀に答えてくれました。お手頃なので、近隣の高校生でなんとなく賑わう店内。売れ筋はやはり美白商品。そして何より興味を抱いたのは「韓国製豊胸クリーム」。使いきりの一回分が10ドル!
喪服のスレイピッチちゃんに豊胸クリームをつきだし、あれこれ質問をぶつけると、
「使ったことがないので分かりません」
店員にあるまじき答えが返ってきました。この初々しさ、私には毒です。わからないと言いつつ、箱ごと大人買いする女子もいるそうな……と、うわさ話も聞かせてくれる親切心。
ひと通り眺め帰ろうとすると、喪服店員の一人が「これがうちの社長よ!」と、数枚の写真を見せてくれました。
写っていたのは──。うーん、お世辞にもカッコいいとは言い難い、どう見ても筆者サイドのイケてない男と、今時ケバケバクマエ女子のツーショット写真。
「私、お金がないからここの商品使ったことないの。だからよくわからなくて、ごめんなさい」
複雑な心境の私に追い打ちをかける店員。なんだここは! 人生劇場か!? ぎゅっと抱きしめたくなる思いをグッと堪え、店を後にしました。なんだかよくわからないけど、すごく癒されたなぁ……。そういう店ではないようだけど。
(文・木村五兵衛)
KARMRAT
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