第一回プノンペン不動産ショー潜入。予想通りと云いますか……
コ・ピッチで行われた不動産ショー。事前にひとつも告知されない抜き打ちイベントでした。
経済成長率7パーセント、しばらく硬直していた土地の値段も徐々に上向き、不動産ブーム再来の兆しが見えるプノンペン。
さぞかし、ギラついた成金ファミリーで一杯なんだろうな。と行ってみたら、成金どころか人がいません。これまで我々が取材したイベントの中でも群を抜いて人口密度の低いイベントでした。
売れない物件をどうにかして売り捌きたい不動産業者と、住宅ローンで暴利を貪りたい銀行だけがギラギラする魑魅魍魎の集まり……といでも言いましょうか。
それでもお客が来れば御の字ですが、誰も来なけりゃどーしようもありません。案の定、やる気を無くしたコンパニオンが案山子のように突っ立っています。
展示されている物件も、日本橋の向こうとか、アンパウ橋を超えた先とか、旧ゴミ処理場近くなど、微妙な立地が多すぎ。それでいて安いかというと、10万ドル前後の結構なお値段です。
「建設工事がまだ始まってませんから、お安く買えますよ。ニコッ」
途中で工事がストップしても、もちろんお金は戻ってきません。
「住宅ローンで買っちゃいましょうよ。月々の返済はわずかです。ニコニコッ」
カンボジアの住宅ローンは12パーセントオーバーが普通という地獄金利。さらに、返済が少しでも遅れれば土地・建物は没収。笑顔の裏には悪魔がいます。
会場のそこかしこに並べられた高級マンションの模型。模型は立派ですが実物は存在しない。そんな物件ばかりのドリーム展示会。
ふと見ると、模型のバルコニーに小さな人形がへばりついていました。私の目には、高金利ローンの返済に詰まった挙句、夜景を眺めながら飛んじゃおうか、どうしようか思案するお父さんに見えました。
(文・本因坊)