【淑女の桃源郷】下町にそびえる大衆芸能の牙城でムズムズしてきた!
大衆演劇? どうせ、ジジババ相手の茶番劇だろ! そう思う人も多いだろう。私もそうだった。東京に二つしかない大衆演劇専門劇場「篠原演芸場」前を通りかかるまでは……。
あからさまに普通じゃない演芸場周辺の妙なギラギラ感と、三時間半の公演で全席1600円均一という破格の木戸銭が気になった私は、翌週再び、北区十条の同じ場所に立っていた。この日は映画やドラマでお馴染みの早乙女太一と並び称される、大衆演劇界の四天王・大川良太郎率いる劇団九州男の公演日。そしてこの夜、私は大衆演劇の虜となってしまったのだ!