エネマグラ教典:没原稿 オナニー暗黒時代

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「エネマグラ教典・ドライ・オーガズム完全マニュアル」
太田出版 クーロン黒沢・ポッチン下条
ドライ・オーガズムのいい話が300ページオーバー。ひとりでできる禁じられた快楽のすべてをここに集約! 将来、日本に始皇帝やヒトラーのようなタイプの指導者が現れた場合、焚書にされてしまう可能性大!燃やされる前に書店で一冊どうぞ。


b0このページが日の目をみる頃、太田出版よりひっそりと密売されている「エネマグラ教典」ですが、おさめきれなかった没原稿が沢山ありまして、捨てるのも勿体ないのでここでこっそりと公開して、雰囲気だけでも知ってもらいたいと思うんですが、所詮没原稿なので本の内容とはあまり関係なかったりして。


[注]
本書はオナニーを禁ずるのではなく、あくまでちんぽこを握ることなく、別の視点から宇宙的な究極の快感(通称・ドライ・オーガズム)に近づこう。という趣旨です。念のため。


宗教の影響が強かった18世紀から19世紀にかけ、ヨーロッパ諸国の人々は「オナニーが致死性の病気に深く関わる」とする考えに深く支配されていた。1715年。匿名の英国人により一通のパンフレットがロンドンで出版された。これが記録に残る最初の反オナニーキャンペーンとされている。

続いて1760年、スイスの内科医サミュエル・オーガスト・ティソ博士が、フランスでオナニーの恐怖を解説した本を出版。この本はヨーロッパの中流社会に衝撃を与え、各国で翻訳版が出版された。

著者のティソ博士は過激な人で、天然痘を患いながらも一日三回のオナニーは欠かさないというオナニー中毒者を実験台として密室に閉じ込め、オナニーが健康にどう関係するのか死ぬまで観察していた……。という逸話が残っている。

こうした「オナニー害悪説」は、多くの医師や衛生学者、道徳家・教育者などのインテリ層に支持され、彼らが与えた合理的、科学的根拠によって、より強固なものに仕上げられていった。

当時の専門家たちは、オナニーが身体と心の両方に害悪を与えると主張し、たった一回のオナニーですら、精神異常、老化、内臓疾患の原因になると自信満々に断言。彼らの見解は一般市民に広く受け入れられ、長年に渡り誰も疑問すら抱こうとせず、骨の髄から信じ込まれることとなった。

ティソ博士の見解が、多くの国の専門家と素人の間で確信に変わったとき、反オナニーキャンペーンは19世紀に頂点を迎えるが、20世紀に入ってからは医学の進歩により、否定されるようになった。

誰でも自慰を行い、不必要に毒液を出しまくってもいっこうに害毒は無い──という事実が認められるようになると、百年以上にも渡る歴史の大部分は簡単に忘れ去られたのである。害毒どころか、最近の研究では頻繁なオナニーが前立腺癌から男性を守ることまで実証されている。

メルボルン・ビクトリア癌研究所のグレイアム・ジャイルズ教授は、前立腺癌研究の一環として、過去の性習慣について1079人の患者と正常な1259人を対象に調査を行い、「20代に毎週五回以上射精していた人は、そうでない人と比較して前立腺癌にかかる可能性が1/3になる」という結論を得た。

博士によれば、頻繁に射精することで、発癌物質が前立線に蓄積されるのを防いでいるという。また、そのような環境にない囚人およびローマカトリック教の聖職者の間で、前立腺癌の増加傾向を見出したとも述べている。

このように医学的な結論が出ているにも関わらず、なぜ純潔運動は一向に鎮まろうとはしないのだろうか。超ポジティブに考えると、純潔運動とはドライ・オーガズム普及のための陰謀とも思える。即ち、無駄な射精をするな。気持ちよくなりたいなら精子を出す以外の方法で気持ち良くなれ……。何処か通ずるものがあるでしょう?

なーんてね。

ここから、イスラエルのとあるサイトにて、反オナニー派へのあてつけに使われていた資料を紹介しよう。1844年頃パリで出版された、タイトルのない反手淫パンフレットの一部である。因みに伊藤博文が初代内閣総理大臣に就任したのが三年前の1844年。日本が近代化への道を突き進んでいた頃に出回った、怪しげな出版物だ……。

011.彼は母親の希望の星でした。町一番のハンサムな青年と評判だった。彼の未来はさぞかし明るいはずだった。あれさえしなければ……

022.と、ところがどうでしょう。つい出来心でオナニーをしてしまったばかりに、彼の背骨は少しずつ曲がり出し、時期尚早の老化が始まったのです。これは神が与えられた罰なのです。

033.神に対する大罪は内臓へも飛び火しました。彼は恐ろしい胃痛に苦しみます。朝から晩まで吐き気がとまらず、オナニーの弊害に苦しみました。

044.かつて、明るく朗らかであった彼の目は、魚のように暗くなりました。オナニーなんて、しなければよかったと後悔しても先に立たず。

055.遂に彼の足は醜く曲がってしまい、まともに歩くことができなくなってしまいました。これもオナニーのせいなのです!

066.オナニーの影響から、彼は毎日悪夢を見るようになりました。まともに寝ることができないので、彼は見る見る痩せてゆきます。オナニーめ!

077.ある朝、彼の白い歯は次々と抜け落ちてしまいました。とともに胸が痛くなり、彼は血を吐いてしまいました。オナニーの作用なのです。本当です!

088.美しいと評判だった彼の髪の毛が、ごっそりと抜けはじめました。オナニーのため老化が早まり、10代にしてはげてしまったのです。いまさらオナニーしたことを悔やんでも、もう取り返しがつきません。

099.彼は常に空腹を感じていました。しかし、胃腸がオナニーのせいで食物を受け付けなくなり、ものが食べられません。

1010.吐血の量が増えました。母は高名な医者を探しますが、どんなに優秀な医者でも、オナニーしてしまった者を助けることはできません。

1111.全身に原因不明の水泡が出てきました。町一番の美しい青年だった彼は、見るからに恐ろしい容貌に変わり果てました。オ、オナニーのために。

1212.常に高熱でうなされ、いっそう虚弱になりました。オナニーのせいで、遂に死を意識した彼でした。いまごろ悔い改めても遅いのです。最初からしなければよかったのに。

1313.やせ衰え、骨と皮だけになりました。身体の臓器が次々と機能を停止してゆきます。オナニーとは恐るべき病なのであります。

1414.あれもこれも、すべてオナニーをした彼が悪いんです。自業自得なのです。神よ、許したまえ。

1515.恐ろしい苦痛の中、彼は死にました。享年17歳……。って、まだ17歳だったのかよ!

(文・クーロン黒沢)



“エネマグラ教典:没原稿 オナニー暗黒時代” への1件のコメント

  1. @fuguuuuuu より:

    @ChiraUra0 悪いことは言わないから今すぐやめなさい
    http://t.co/G9SrxSew

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