カンボジア大物列伝 : 男の野望 ロイヤルグループ総帥を目指して──
オレもビッグになりたいぜ!──と、天井のファンをボーっと眺めながら夢想することはないですか?
私もしかり。いつも思い浮かべるのはカンボジアのコングロマリット・ロイヤルグループ。総帥は1968年生まれの若干45歳。カンボジア生まれの華僑、キット・メン氏です。
ポルポト時代は「小金持ちの華僑」ということで目の敵にされ、一族郎党、身ぐるみ剥がされ強制収容所送りとなり、命からがらタイ国境の難民キャンプに脱出したのち、オーストラリアへ。
難民として皿洗いや芝刈りで日々の生活費を稼ぎつつ、一族の復興を胸に誓うキット氏。1991年、23歳でカンボジアに舞い戻り、国連軍相手に家具やコピー機を販売。
ついでキヤノンやモトローラ社と独占販売契約を結び、電話・通信事業の足掛かりを掴み、モビテルという携帯電話会社を手に入れると、これをシェアナンバーワンに育て上げ、グループの中核とします。例えるなら「カンボジア版・孫正義」といったところでしょうか?
グループ企業の名前を見ても、ANZ銀行、MobiTel(携帯電話)、CTN(テレビ局)、INFINITY(保険会社)、Northbridge communities(高級コンドミニアム&インターナショナルスクール)──変わったところで、Rock(芸能プロダクション)、TITAN(ベトナム国境のカジノ)……などなど。
ANZ銀行を除いてカンボジア以外では知名度のない会社ばかりですが、あえて例えてみるならば、三井住友銀行、ソフトバンク、フジテレビ、東急グループ、エーベックス、マルハンを組み合わせたような巨大財閥といったところでしょうかね。
いつの間にかサムスンの独占代理店契約も取得済み。全くもって死角なしです。
正直、ここまで成り上がる自信は無いので、できれば会長の娘さんあたりと結婚して逆玉に乗る夢に切り替えます。とりあえず明日、路上の1ドル床屋いって、バイク洗車して、見た目だけはもう少し何とかしたいと思う今日この頃です。
(文・本因坊)
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