ASEANサミット : こぼれ話 ベトナム人はしぶとかった
まさに記者の鑑、ベトナム人は転んでもタダでは起きない。しぶといですね。
世界中のメディアが押し寄せたアセアン会議。朝から晩まで無数の会議が立て続けに開かれるわけですが……。実は、各会議ごとに取材パスが異なり、それがいつ配られるか、どこで配られるか、何枚もらえるのか、はっきり決まっておらず、取材陣は大混乱。
そんなさなか、ベトナムの女性記者から声をかけられました。
「カメラマンは楽でいいわねえ……」
記者は話を聞いてなんぼです。VIPに近づける保証はなく、手ぶらで帰れば書くことが無い……。確かに私より大変な立場かもしれません。カメラマンはカメラマンで肩甲骨が折れそうなほどの大荷物を抱え、あっち行ったりこっち行ったり大変ですけど。
ベトナム人といえば元来「目的を達成するためなら、手段を選ばない人々」というイメージがあります。例にもれず、彼女も行動力の塊でした。
取材パス発給の混乱で出遅れ、肝心のパスが貰えなかった彼女。しかしくじけず、持っていた全然関係ないパスを巧みに組み合わせ、入れないはずの会場に我物顔で突入。パスがあるのにガーガー怒られる私を尻目に、しっかり役人のコメントを貰っていました。
類まれな行動力とずる賢さ、ジャーナリストの鑑を目の当たりにしました。
(文・木村五衛兵)