プノンペンげてもの列伝 : 新メニュー!フライド孵化前たまご
ナイトマーケットで無惨な姿のあいつを目にしました。美味しかったです。
そう来たか! 美味けりゃ何でも良いけど──。
カンボジアは食の宝庫! 和洋折衷、昆虫、は虫類、犬、ネズミに至まで食べ尽くします。まあ、人によりけりですが。
そんなグルメ・カンボジアンの皆さんがこよなく愛すソウル・フードといえば、アヒルの孵化前タマゴ「ポンティア・コーン」です。そう、孵化直前のタマゴをスプーンでコンコン叩いて殻の上部を円形にくり抜き、中味をすくって食べるという、嫌いな人は身の毛もよだってしまう「あれ」です。
グロテスクな外見とは裏腹に、濃厚でクリーミーな味わい。おまけに精もつく(言い伝え)ってわけで、酒の肴にもってこい。かくいう拙者も、グロさより美味さが勝り、たまに手を出しております。
先日、プサーリトライ(ナイトマーケット)にて、そのポンティアコーンが微妙に進化したニュースタイル料理と遭遇。
最近、西洋のつまみや菓子を好んで食べる「スティーウ」と呼ばれる軟弱な若者が増え、件のポンティアコーンもキング・オブ・つまみの座から引き摺り下ろされ、端の方にひっそり並ぶ程度まで人気が凋落。
この事態を重く見た露店のおばちゃんが知恵を絞って開発した次世代のポンティアコーン。それが何を隠そう「フライド・ポンティアコーン」なのです。殻を剥いたポンティアコーンに衣をつけ、高温の油でカラッと揚げて出来上がり。お好みでチリソースをかけて召し上がれ。
オリジナルに勝るとも劣らない味。衣がついて食べ応えもありますが、最大の特徴は見た目のグロさがマイルドになったこと。取り扱う屋台はまだまだ少数ですが、一発当たれば臆面もなく人マネ商売を始めるお国柄ですので、さ来月には街中で味わえると確信しております。
(文・木村五衛兵)
プサーリトライ
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