北タイ取材記 : チェンマイ中古市場潜入・後編 日本軍兵士コボリさんと出会う
北タイを巡り、ハートウォーミングな出会いをお伝えするコラム。今日のゲストは元日本兵デース。
前回、チェンマイ中古市場に潜り込んで、奇っ怪な販売物に度肝を抜かれた私。
そんな私、実はチェンマイ到着直後から、通称「コボリさん」と呼ばれている一部で有名なお方を探し続けていました。
コボリさんとは、旧日本軍兵士(陸軍、海軍、憲兵など、幾つかパターンがあるらしい)の扮装で普通に生活されているタイ人。タイの人気俳優が日本人青年将校「小堀」を演じた「クーカム」という人気映画に影響され、これからの人生、コボリとして生きて行くことを決心。でも、どういうわけか将校ではなく兵卒の格好が好きだったりもする、慎ましくも勇気ある伝説の男。
若いのか歳くってるのか年齢不詳とか、10年以上前から日本兵コスプレ生活を続けているとか、親の経営するアパートの管理人をして小遣いを貰ってるとか、暴飲暴食で痛風持ちとか、新しいテクノロジーが苦手でケータイもほとんど使えないとか、バイクも車も運転できないだとか、チェンマイ滞在に備え、コボリさんに関する断片情報をむらなく集め続けた私。
信頼のおける情報筋から聞いた「コボリさんが日本語のフリーペーパーをもらいに行くデパート」をうろうろしたり、「コボリさんが良く行く日本人経営のカフェ」に日参したり(なぜか三日連続休業だった!)、さんざん努力するも接点は生まれず憔悴しきっていたのですが、天は見放さなかったようです。
そう、いままさに、皇軍兵士の格好をした小柄な男が、私の目の前を通りすぎようとしました。えーっ!
「コボリさんですか!?」
「はい……」
実物のコボリさんはとても寡黙な人でした。日本語を話すのが単に億劫だったからかもしれませんが、写真撮影にも快く応じてくれまして、お礼を言うと敬礼して去っていきました。
町中、中国人観光客だらけのチェンマイ。こんなヤバすぎる格好で歩いた日には、方々で叫ばれたり罵られたり、詰め寄られることもあったでしょう。だから元気が無かったのかもしれません。私が上官だったら喝を入れてあげたいところですが、これからも続けてもらいたい。そんな気がします。
(文・クーロン黒沢)
チェンマイ中古市場
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久々にクーロン節が読みたくて読んでたら・・・この記事に遭遇。私1か月前、この人に会いました!チェンマイのターペー門です。しかもこれ読んでなかったから、一瞬何が起きたのかわからず・・・「なんでー!?」と日本語で指をさして笑ったら「ぺこり」とお辞儀をしてほほ笑んでくれました。とても礼儀正しい方でターペー門から渡る信号のボタンをおして渡らせてくれたり感動しましたが、なんであんなかっこしてるんだろうとおもったら、狂気度合いの高さにびびります。