街角暗黒グルメ : 超久々に犬肉店に顔を出してみた | 前編
クロマーマガジンに寄稿した犬肉シリーズ。諸般の都合で書けない部分を再構成。前編!
プノンペン市内に大繁盛の犬肉屋があるらしい──。
カンボジアで「サッチュカーエ(犬肉)」といえば、決して家族で食べに行く類のものではなく、位置づけはブルーカラーの精力剤です。まむしドリンクとか、そんな感じですかね。
プノンペンで犬肉を食べたのは10数年前のこと、犬肉よりも屋台の衛生状態に驚愕し、一口食べるのが精一杯でした。
記憶が定かではありませんが(脳が記憶を消したがっていたんだと思う)食べ残しは確か、物乞いかゴミ拾いの人にあげたような。結構喜んでくれましたよ。犬!犬肉!と大声で連呼していたのが印象的でした。
食えば明日への活力が。未知のパワーが授かれるという……。でもひとりじゃ行きたくない。そこで、いつも暇そうな本因坊と木村記者を呼びました。
木村記者には予め「フォーマルなお店だから、ちゃんとした格好してきてください」と、適当な情報を伝達。待ち合わせ場所に現れた木村記者は案の定、ワイシャツに革靴という下級役人コスプレでした。
プノンペンの南端。閑散とした「ボントロバエクプラザ」というデパートの脇を流れるドブ川のほとり。
ここに昼過ぎぐらいから、数軒の煤けた屋台がオープンします。その隅っこに、陰のあるむさい男たちが無言でモリモリ肉を喰らうひときわ異質な店が……。
恐る恐る、男たちにカメラを向けます。殺されるかと思いきや、皆すでに出来上がっていて上機嫌でした。心なし、彼らの顔つきが爬虫類っぽく見えたのは私の偏見かと思います。なんでみんな、喰いながら電話してるんだろ?
女性指数ゼロ。七輪といい焼き網といい、店の備品はどれもいい具合にくたびれています。でも結構流行ってる!
屋台には、看板代わりとばかり、黒焦げになった犬の頭がひとつ飾られています。それを見た木村記者の顔がいつになく引きつっていました。
筋肉質な男たちの視線がガスッ、ゴスッと音を立てて突き刺さるなか「犬肉セット」を「ちょっと少なめ」でオーダーします。
その瞬間、店主も他の客も皆、少し驚いたような顔で固まりました。ついでに近くで様子を眺めていたバイタク連中の会話も止まります。
なるべく少なく、お腹すいてないから。ちょっとでいいから……。しつこいくらい念押ししたのに、間もなく、我々のテーブルに山盛りの犬肉が供されました。以下、後編に続きます。
(文・クーロン黒沢)
犬肉店
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@inugrapher カンボジアでは犬肉食べてるみたいです(笑 http://t.co/6nfGJ26Y1N
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