人の噂も75日。400人が亡くなったピッチ島復活の兆し?
400人近くの死者を出した吊り橋事故から二年あまり。呪われた地とされていたコピッチが復活の兆しです。
プノンペン東端に浮かぶ小さな島「コピッチ」。草ぼうぼうの煤けた場末だったこの島の開発権を手中に収めたカナディア銀行が、先住民である漁民を追い出し、高級住宅街、結婚式場、遊園地、レストラン街を含む大開発を行った数年後の2010年11月──。水祭りを見に来たローカル観光客ですし詰めの大混雑だった島と本土をつなぐ吊り橋で、流言によるパニックが発生。400人近い死者と700人以上の負傷者を出す大事故が起きました。
その後、呪われた橋は撤去され、新しい橋に架け替えられましたが、事故現場の真向かいにある巨大結婚式場は「縁起が悪い」とキャンセルの嵐。レストラン街はシャッター商店街と化し、エリート・タウンという身も蓋もない名の付いた高級住宅街は「幽霊住宅街」と呼ばれ、風評的には壊滅的な打撃を被りました。
ところがです。二年後の今。気がつけば結婚式場は大盛況。川沿いのレストラン街は大繁盛。空きテナントは皆無の勢いで、奥のほうではシンガポールのアレにそっくりな建物が着々と建設中。
呪われた橋からそう遠くない川沿いには、いつの間にか真新しい時計台が完成、周囲にはこれまた巨大な商業施設らしき建物が猛スピードで建設中。この建物、早くも売りに出ていまして。「ラ・セーヌ」という、これまた背中がゾクゾクするような名前が付いておりますが、市中心部から近く、橋の真横という好立地(イオンモール建設予定地とは小さな川を挟んだ対岸)。付近の賑わい様といい、なかなかの物件。
バンコクのウィークエンドマーケットにも、真ん中にしょぼい時計台がありますよね? 観光客しかり、人間という動物には、なぜか時計台に引き寄せられる習性があります。今まさに、五秒でひねりだした私の学説に思わず頷いてしまったあなた、早速電話をかけましょう。
(文・クーロン黒沢)
開発現場
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