季節感まるで無しのクリスマス
クリスマスイブはシハヌークビル(プノンペンから離れたところにある海の町)で過ごした。シハヌークビルはひなびているだけが取り得のようなところだが、最近妙に毛唐が多くなり、外国人も幾つか店を出して開けてきた。飲み屋ばかりだけど‥‥。タイとの国境に近いせいか、プノンペンで店を開くより気が楽なのかも。
で、涼しい海辺に寝そべって明後日帰国する下条君の話を聞いていた。いわく、親も使う事務用のパソコンでニュースグループの変態画像をダウンロードしているそうで、そんなもの親に見つかったらどうすんの!? と尋ねると、深い階層に入れておけば誰も見ないよ。とのこと。でも発見された瞬間、家庭崩壊の可能性大。
どうでもいいが、海辺の物売りも年々しつこくなっている。中には色気丸出しでかっぱえびせんを買えと迫る女の子もおり、十年後が思いやられる。
そうこうするうち、海岸線の様子がおかしくなってきた。遠くから赤色灯をつけたピックアップトラックの群れが近づいてくる。
トラックの荷台にはライフルで武装した七、八名の兵隊、その後ろにベンツが一台、そのまた後ろに警官を満載したトラックが続いている。
ベンツから降りてきたのは二名の白人ババア。二人が降りた瞬間、皇帝陛下の従者みたいな奴が大きなパラソルを持って音も無く走り寄り、ババアの上に日陰を作る。で、毛唐ババアはニコニコしながら海岸線を10分ほど散歩していたが、その間もM16やAKを構えた大勢の兵隊がババアを囲むように取り巻き、辺りを鋭い目で威嚇していた。こんなに殺伐とした観光客を見たのも久しぶり。偉い人なのかなあ‥‥。
プノンペンに戻ったのは翌日夜。下条君はバンコクに飛び、僕は引き続きいつもの鳥飯屋で食事する。もうすぐ正月なんでしょうが全然季節感がない。「さわやかタイ読本」は無事発売に漕ぎ付けたけど、あとひとつ、年明けまでに仕上げないと何処にも遊びにいけない。家の中ばかりで発狂しそうだ。
そんな気持ちを抑えるため、snes9xで日本にいる谷Kと桃太郎電鉄DXの対戦プレイをやろうと思うも回線が細くゲームにならない。翌日、試しにエミュレータを軽めのzsnesに替えてジェラルド君とプレイ、今回はなんとか1ゲーム遊ぶことができた。国際プレイ完了。仕事しなくちゃ。
(文・クーロン黒沢)