禁煙:僕がタバコを吸い始めたわけ
もともとタバコを吸う習慣はなかった。30過ぎるまで興味すらなかった。けれども6年ちょい前、竹田(仮名)君とレンタカーでタイの田舎をぐるぐる回っていたそのとき、なんとなく一本吸ってみた(眠かったから)。
すると、頭クラクラクラ……となった後、ビシッ、シャキっとしたような気がして、それからというもの、すっかりくせになってしまいました。
1日5本が、10本、20本と増え、1日ひと箱になったとき、これはヤバいと自制したものの、気がつけば1日ひと箱ペース。多いときでひと箱半といったところ。ひと箱半吸うと気持ち悪くなるし、全然うまいともなんとも思わない。でも吸うんだよ!
こちらの国では高いタバコでも1箱100円ほど。安いものでは30円、従って金銭的な理由からやめようとは思わない、思えない……ものの、量を減らしてみることにした。
現在、私の肺の状態はこんな風だと思う。
以前、1時間に一本!と決めたときは約4時間後に挫折。中途半端な目標では実行力と覚悟が伴わないので、3時間に一本としてみた。
吸いたいときにだらだら吸っていたこれまでの生活、ニコチン禁断を実感するのは飛行機に乗ったときくらい。それでも、便所で便器に口を近づけながら隠れて吸う (うまくやるとセンサーに見つからず、一服できるらしい) ──気にはならない。
部屋だと吸わなきゃ集中できない。気が散って気が散って、時計ばかり見てしまう。毒されているのを実感。三時間ごとの一服に切り替えてからというもの、なにがいいかってタバコがうまい。
初めて吸ったときの、ドクドクドク……(鼓動)、クラクラクラクラ……が蘇る瞬間は、感動のドラマというか、こんなもの一日40本も吸ってたのかという恐怖、口では説明できないものがある。
このまま減らして、パーッとやめちまえばいいんだが、リバウンドしそうなので気長に減らしていきたいと考える今日この頃。乱世ではタバコの入手先も限られますから。
(文・クーロン黒沢)