プノンペンアート散歩 : 絶滅寸前の絵師たち
カンボジア・アートの真髄を味わいたければ書店の小説コーナーへ! 恋あり、冒険あり、涙あり──
ブックセンターと言う割にメインは文房具。肝心の本が脇役扱いの本屋さん。そんな書店の隅で買い手を待つ二束三文の冒険恋愛小説。そこはあなたの想像を超えた世界。同じ星のものとは思えないテイストで力強く描かれた極彩色の扉絵が、壁一面に広がるワンダーランドなのです!
なんと言うか、噛めば噛むほど味のある絵柄ですが、残念ながら10年ほど前を境にすたれ始め、今や絶滅が危惧されています。
かつて、カンボジアはどの町・どの村もすべて「この絵」に占領されていました。まるで、国中の絵を同じ人間が請け負っているのではないかと錯覚する勢いで、看板からポスターから教科書のカバーまで全部同じ画風でした。ま、これは古き良き時代のお話で、かわって台頭しているのがいわゆる「アニメ絵」カバー。カンボジア人が描いたものではなく、日本や韓国から輸入されたイラストがコピー・改変され使われています。
印刷屋のおやじと奥さんがヒーヒー言いながら自転車操業に励むケースが殆どなカンボジアの出版界に、古き良き絵師を保護する気などさらさらありません。売れれば良いのです。イラストレーターの社会的地位がほとんどないのは、絵師の連絡先を訊ねたときの「そんなもん訊いてどうすんのさ!」的な反応で伺い知れます。
遺跡もいいけど、ついでにこの絵柄もまた、ぜひ後世に伝えて欲しい。補助金を出すとか、新しい看板は全部このタッチにしないといけない法律を作るとか、方法はいくらでもあるはずです……よね。
(文・クーロン黒沢)
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凄い!魂をゆさぶる表現力。日本韓国風アニメ絵にとって変わられてるそうで、大変無念> プノンペンアート散歩 : 絶滅寸前の絵師たち http://t.co/OfSaSeKQ