タイで運転 道ゆくオカマの数を数えたりして長い一日が終わった

s-0039 朝飯食って昨日の反省会。さっさと出発すっかと山道をメーサリアンへ向かう。

 座ってるだけで吐きそうになるうねり狂った山道をひたすら登って降りる。タイという国、メジャーな国道には必要以上に巨大なガソリンスタンドが林立しているのだが、こういう場所にはほとんど何も無い。ガス欠したら大変なことになりそうだ。

 五時間近く走ってメーサリアン到着。トレッキングとかゲストハウスとか、そういう産業で細々と食っているひなびた集落である。

 ゲストハウスにトンカツ定食があったので小休止。店主の姉ちゃんは日本の某有名大学に留学経験のあるインテリで、でも仕事はゲストハウスのレジ係……。四桁以上の計算をする機会は死ぬまでないだろう。

 休憩後、一路チェンマイへ急ぐ。頭の中の予定では、このあと北の町をあちこち巡る計画になっていたが、チェンマイに着く直前。なにげなく「パタヤいきてえなあ‥‥」とつぶやいてみたところ、下条君が一も二もなく賛成してくれたため、今後の計画を全て白紙に戻し、今晩一泊チェンマイでのんびりして、明日はパタヤまで一気に下ろうと結論に達する。

 チェンマイは一方通行が多く走りずらい町だ。安ホテルには駐車場があまりなく、大きな駐車場があるホテルはそれなりに高い。

 これまでろくに見もしなかった地球の歩き方をめくり、町はずれの中級ホテルにチェックイン。さすが地球の歩き方に載ってるだけあって、日本人らしき人も大勢いる。
 このホテル、ほんのちょっと変わっていて、レセプション横にプールがある。それが二階や三階のバルコニーから飛び込むのにまた丁度いい位置にあって、たぶん飛び込むバカが大勢いたのだろうが、あちこちに「デンジャー」と書き殴ってあった。

 夕食はやはり地球の歩き方お勧めの、繁華街の外れにある餃子店へ行った。日本人が沢山いるかな‥‥と思いきや客は誰もおらず、苦虫噛みつぶしたような、愛想のないワイシャツ姿の中国人がやってきて、メニューを放り投げた。
 おやじは終始無表情・無言で、ひょっとして最近、心ない日本人に一人娘をレイプされたのかしら‥‥と想像してしまう雰囲気。餃子はうまかった。食い終わったのは夜九時ごろ。

 生憎、ナイトバザールには興味がないので、毎度おなじみ、車はそのへんに放置して精力絶倫そうなトゥクトゥクのおやじと一時間契約を結び、町のそういう場所をぜんぶ見たいから連れていってくれ!!と案内を請うた。二つ返事でオーケーだった。
 結果、チェンマイには市内中心部にあるゴーゴーバーのほかに、ピンク色に照らし出された置屋通りが一本。横にホモ専門店が三つ。郊外の民家で営業する秘密店が五店ほどあり、ソープもあるが日本人だらけ‥‥という、どうでもいい事実が判明。

 元の場所まで戻ってもらい、トゥクトゥクの親父に報酬を渡しバイバイ。その直後、いま連れていかれたばかりの場所にもう一度、自力で出発。ま、こうするとタクシーのリベート分安く済むわけだが、なんともセコい話である。でもやるしかねえんだよ!

 でまあ、チェンマイの道は初めてのせいもあってひどくわかりずらく、あちこち迷って三時間ほど無駄にする。お陰様で、チェンマイの道路についてはトゥクトゥクのおやじ並みに詳しくなるが、今度ここに来るのはいつの日だろうか。

s-0038 翌朝、昼近くに目が覚め、急いでホテルを出る。

 出る前に食ったフライドライスはあまりうまくない。荷物をまとめパタヤへ出発。ハイウェイに出ると生きた象を積んだ崩壊寸前の小さいトラックを発見、象におやじがひとりまたがった状態で時速120キロ。すかさずデジカメを構えるも、こちらもハンドルを握った状態でうまく撮影できず……。

 チェンマイからランバーンを経由し、途中のガソリンスタンドで一服の清涼剤・おしぼりで顔を拭く。タイのドライブインでは、大抵冷たく冷やした使い捨てのおしぼりが20バーツで売っている。なんとなく気持ちよく、ガススタンドを見るとついおしぼり目当てで停車。中毒症状が現れる。

 途中、山を幾つも越えるも目立ったトラブルはなく、夕方にはピサヌロークという大きな町に着いた。ここで二時間ほど休憩。町外れの空港近くに大きなソープがあったのでウヒョヒョヒョヒョ。グルルル。と覗いてみると、オープンまで一時間あまり残し、中には誰もいなかった。

 ピサヌロークからナコンサワンに抜ける道は、街灯ひとつない片側一車線の暗く穴だらけの田舎道である。

 巨大なコンテナを運ぶ時速30キロの大型トラックが抜かし抜かされあい、いやなカーチェイスを展開する横をすり抜け、ナコンサワンに着く頃には十年分の反射神経を使い切ったような疲労感。

 ナコンサワンを抜ける頃には深夜にさしかかり、首都・バンコクが近くなったせいもあるのだろう、行き交うトラックがふらついたり、急停車したり、あからさまに居眠り運転を展開していて身の危険を感じた。事故った車を路肩に見ることも多い。

 数時間後「アユタヤ」と書かれた標識が見えた。下条君いわく、アユタヤには行ったことが無いので是非寄り道したいという。

 腹も減ったので行ってみるかと町に入ると、どこをどう間違えたのか、風俗街の中心へたどり着いた。
 ゴーゴーバー、カラオケ、そして星の数ほどあるいかがわしいマッサージ屋‥‥。アユタヤが日本人に人気のある観光地とは聞いていたが、こういう構造になっていたとは知らなんだ。

 繁華街の飯屋でイカ野菜炒めを食い、イカ臭い下半身を引きずって出発。バンコク市内をバイパスし、制限速度120キロの高速道路でパタヤに直行。空を見ると、進行方向の上空がピンク色に輝いている。あれがパタヤか‥‥。

 そんなわけで事故もなく、パタヤの某ホテルにチェックインしたのが午前三時近く。疲れすぎで興奮状態に陥り、眠れないまま深夜のパタヤを走り回る我々、道ゆくオカマの数を数えたりして長い一日が終わった。



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